勝ち筋が見えない秋、泣いた秋
クソ親な場面があります。不快に思われたら読みとばしてください。
先生方との面談の後、忙しない日々が続いた。
例えば受験校再考の為の説明会・イベントの参加に過去問演習の開始。スケジュール見返すだけでうっとなった。
たろうのメンタル対策も思いつく限り行った。手始めに模試会場を受験予定校にしたり。合格グッズを買ってみたり。
洋楽はファイトソングに変わっていった。
当時、私を悩ませたのが2/1にM校、N校どちらを受けるかであった。
前年までN校より偏差値5ほど低い立ち位置だったM校の偏差値がよりによってたろうの受験する年に上がっていたのだ。
N校 一回目 - (基準)
二回目 +4
M校 一回目 -3
二回目 -2
三回目 -4
位置付けとしてはこんな感じ。
三回目を受ければとお思いだろうが三回目は少人数しかとらない。上位校残念組も含め百人以上の受験生が雪崩れ込む。その状況でたろうが取れるとは思えなかった。
N校の二回目も同様。合格をとるなら2/1の一回目になるだろうと私は考えていた。
安全校が無い。
かといって他に行かせたい学校も無い。
私は毎晩、偏差値表を眺めて悩む日々を送っていた。更年期も重なっていて体調はぎりぎりだった。
だからだろうか。私は爆発した。
きっかけは過去問の丸付けだった。算数で途中式を飛ばした回答に私は配点を0にした。
「これからは途中式書いてなかったら0点にするで」
「どうして!答あっとるやん」
ごねる、たろう。あれからB先生から相当注意してもらったのに、彼の式を省く癖は続いていた。
ついに堪忍袋の緒が切れた。
ドンッ
思い切り机を叩く音が母息子二人だけのリビングに響く。
「あのなあ?」
固まるたろうを睨む。
「途中式省いても満点なら、お母さん文句言わないわ。うちの子良くできるわ~っで終わるわ。でも計算合うてるか?……違うやろ!」
たろうは静かに泣きだした。
鼻をすすり上げる音が聞こえる。
そんな息子に追い討ちをかけるように私は言った。
「M校の先生が説明しとった。M校は答だけ合ってても駄目なんや。途中式書かんと減点される。逆に答が間違っても途中式があれば部分点くれるんやで。絶対に書かなあかん!」
心のどこかで思った。
この子はきっと私を許さないだろう。将来私から離れても当たり前の事をしていると。
それでも止められなかった。
心の中の勝負師が言うのだ。
算数を放置していては勝ち筋が見えない。このままじゃ 全敗だと……実力はある子なのに。
メンタル面に気を遣ってきたのに、一瞬で台無しにした自分が嫌になった夜だった。
~♪~
あの娘、ちょっとおかしいのよ。
夜に叫ぶのよ?
わたし、おかしくなりそうって
~♪~
Ava Max「Sweet but Psycho 」のメロディが脳内を流れる。歌詞の様におかしくなっている。
わかっていても止められない。
たろうが可哀想だ、可愛くもない母に詰められて…。
10月の模試。学校会場をと考えていたのに予約が取れなかった。なんとかとれた会場へ送り出す時にたろうはぽつりと言った。
「これだけ頑張って駄目なら何やっても駄目さ。」
――息子を送り出した私は、自宅に戻り相方の前で泣いた。
子どもにこんな事を言わせるなんて。
10月の模試は前回より+2。
算数が前回より+9。得意科目の理科が足を引っ張った。
小六 10月時点
本命校目標偏差値より-6。
M校目標偏差値より-2。
算数の調子が戻ってきたが、本命校まではまだ遠い。後、二ヶ月で届くのだろうか。
届いて欲しいと祈る日々を私は過ごす。
読みにくい回をお読み頂きありがとうございます。難産だったこの話が底です。




