第四話「激辛地獄!? マグマスライムの灼熱グルメ」
「ここ……暑すぎじゃないか……?」
俺たちは今、火山帯にある地底の洞窟「カプサイ火山」の内部にいた。
気温50度。空気は唐辛子。風はチリペッパー。たぶん息吸うだけで辛い。
「ねえ、なんでこんなとこ来たの?」
「スライム図鑑にあったんだ。“伝説の激辛個体・マグマスライム”……。
この世のすべての香辛料を凝縮した、辛味の王!」
「もう完全にバカでしょ……」
――だが、そのとき。
グラアアアアア……!!!
洞窟が震えた。
マグマの池から、にょろりと現れる巨大な赤黒スライム!
その表面は常に煮えたぎり、体温は300℃超!
◆ モンスター出現!【灼熱種・マグマスライム】
・体液は特製マグマソース(※一滴で牛一頭を即撃沈)
・辛味ランク:S+(スコヴィル値:測定不能)
・本気になると「激辛地雷弾」を噴出する
「これはやべえ……!けど、食べるしかないっ!」
「無理よ!調理どころか、触った瞬間焼き尽くされるわよ!?」
「大丈夫だ、俺にはこの“耐熱スプーン+3”がある!」
◆ ◆ ◆
【激辛スライム戦・フェイズ1】
マグマスライム、溶岩弾を飛ばしてくる!
マリーネの泡魔法で包み込んで中和!
→ その泡が偶然、スライムの表面をスチーム焼きに!
→ 表面が香ばしく焼き固まって**“辛味クルトン層”**を形成!
「いける……!これ、調理できるぞ……!」
【フェイズ2】
内部の激辛マグマをどうにかすくう必要がある。
「マリーネ、こっちの“辛味核”を冷却して!中心だけ凍らせて味を閉じ込めるんだ!」
「わかった……!“氷結泡・零式”!」
→ マグマの中心が瞬間冷却されて**辛味の核=“激辛ジュレ”**に変化!
そして――
【フェイズ3・調理】
・外側:香ばしく焼けたマグマスライムの皮(クルトン風)
・内側:とろける激辛ソース+冷却辛味ジュレ
→ 完成!
《灼熱マグマスライムの激辛ジュレ・カルデラ仕立て》
「いくぞ……!」
(ぱくっ)
「…………」
「ど、どう? 悠真、大丈夫?」
「…………うん。
……舌が死んだ。でも旨い。これ、死ぬほど旨い。」
味は、ただ辛いだけじゃない。
唐辛子の持つ甘味、刺激の奥の旨味、スライム特有のぷるぷる食感が……奇跡のバランスで融合していた。
マリーネも一口。
「――あ。これ、好きかも」
「え、辛いの苦手じゃなかったの?」
「……ちょっと前までね。でも昔、母が作ってくれたカレーが、めちゃくちゃ辛くて――」
少し遠くを見るようなマリーネ。
「……その味に、ちょっと似てた」
(そっか。甘いものだけじゃないんだ、この人の思い出って)
◆ ◆ ◆
マグマスライムを食べきり、俺たちは再び旅路へ。
「次はどんなスライムに出会えるかな……」
「……次は、辛くないやつ希望」