第十六話「海と時間のレシピ!? 寿司スライムと漁師の記憶」
「なあ、海って……スライム湧くの?」
「湧くわよ? 塩分と流れと、潮のリズムで発酵と分裂が絶妙に重なると――」
「もう海そのものが“うま味の海”じゃねぇか……」
俺たちは今、かつて伝説のスライム職人“スシロー翁”が住んでいたという港町《カスミ浜》へ来ていた。
そこに現れたのは……
◆ モンスター出現!【寿司スライム】
・ネタとシャリが一体化した不可思議スライム
・個体によってはトロ、イカ、ウニ、イクラなどの“性質”を持つ
・潮の満ち引きに合わせて味が変化、熟成も自動で進行
・なぜか頭にハチマキを巻いている個体も確認済み(自我強め)
「うおぉ……トロがしゃべってる……!?」
「いや、それ“スライム・トロ型”だから! 口はないけど雰囲気で語りかけてくるの!」
◆ ◆ ◆
カスミ浜で開催される謎の儀式
《一夜限りのスライム寿司勝負》
──それは、海の男たちとスライム使いが繰り広げる、命と記憶の勝負。
マリーネ「ただの料理じゃない……この儀式、スライムに宿る“記憶の味”を解き明かすって話よ!」
そして、ついに現れる――
伝説の寿司職人・スシロー翁(94歳/現役)!
「スライムはな……ネタの命と、シャリの夢を融合させた奇跡じゃ……」
◆ 調理フェーズ:海と記憶の江戸前勝負 ◆
チーム俺たちの構成案
・スライムを握るのではなく、共鳴させる。“寿司型”を解体→再構築
・「潮だまりの昆布エキス」「柚子しぼりシャリ」など、思い出の味を注入
・最後に、スライムの中に“漁師の記憶エキス”を数滴
スシロー翁の一手
・「黙って感じろ」がモットー
・スライムをただ軽く触れただけで、自然に寿司へ変形する神業
・そのネタは、彼の失った妻との思い出が詰まった“記憶スライム”
◆ 完成寿司 ◆
**『記憶巻き・潮彩五貫』**
1貫目:トロの重み(父の手)
2貫目:イカの透き通り(子どもの笑顔)
3貫目:イクラの弾け(恋の瞬間)
4貫目:うにの濃さ(失恋の夜)
5貫目:酢飯の温もり(生きている、という味)
「……涙が、勝手に……これはもう、食事じゃねぇよ……」
「人生を……握られた……!」
シャルル「……スシロー翁、やっぱり只者じゃなかったね。料理で語る男、嫌いじゃない」
――が、その裏で“赤黒い海スライム”が静かに動いていた。
マリーネ「まさか……“海の忌み子”と呼ばれた、ナマコ型スライムが……!」




