第十二話「星降る夜に、銀河スライムの幻想ディナー」
夜空を見上げる俺たちの頭上に、星が流れる。
「……本当に、あれが“銀河スライム”なの?」
「伝説だと思ってた。でも、この時期、この場所――“アステル高原”だけは違う。星が落ちてくる夜、銀河の扉が開くって」
そして、流星の中に確かにいた。
青白く輝く、透明のスライムが空からふわりと降りてくる。
◆ モンスター出現!【銀河スライム】
・微細な星屑とともに生成される、完全浮遊型スライム
・触れると重力が乱れ、時間の流れさえ変化することがある
・味は“未定義”だが、かすかにフルーツとミルクの香り
・調理には「重力バランス」と「天体のリズム」が必要
「おいおい、調理以前に“捕まえる”のが一番大変じゃねーか……!」
◆ ◆ ◆
ふわふわと舞うスライムを、マリーネの【風の結界】で優しく包み、
俺が魔導調理器で周囲の重力を安定化。
時折、過去と未来の味覚が交錯する――そんな錯覚を覚える不思議な存在。
そこへ……
「流星の夜に間に合ったか……」
まばゆい銀色の外套をまとい、シャルル・ド・グルメールが星のように登場。
「僕はこういう“非現実の料理”こそ好むのさ。君たちに、宇宙の味、見せてあげよう」
彼が取り出したのは――重力調律スプーン《グラビトン・レードル》。
「こいつを使えば、銀河スライムの味は――星の音楽に変わる!」
◆ ◆ ◆
【調理フェイズ】
・銀河スライムを“時間ごと煮詰める”ことで、数億年の風味を再現
・星屑エキスと地球上のスパイスを混ぜ合わせ、“宇宙フュージョンディナー”に昇華!
完成!【銀河仕立ての三重奏:星屑のムース・時空ゼリー添え】
「……口の中で、星が瞬いた……」
「甘くて、優しくて、どこか懐かしい。でもどこにもない味だ」
シャルルはグラスを傾けながら静かに言った。
「スライムとは、ただの料理じゃない。
命の旅であり、そして宇宙の記憶そのものだ」
◆ ◆ ◆
夜空は、今も流星を描いている。
俺たちの旅は、味覚を超えた領域へと突入していた――。




