第94話 仮面の下の真実
黒鋼の死神の圧倒
「——ハーブ。貴様に選択の余地はない」
重々しい声とともに、黒鋼会の幹部 “黒鋼の死神”カイン が剣を構えた。
王都の封鎖を主導している黒鋼会。その中核を担うカインの登場に、ハーブたちは警戒を強める。
「……相変わらずだな、お前は」
ハーブは剣を握り直しながら、カインの動きを見極めようとする。
「前回の戦いでは、決着がつかなかったな」
「決着をつけるつもりはない。貴様が道を開けるなら、今ここで斬る必要もない」
カインの瞳には、一切の迷いがなかった。
「だが、そうはいかないのだろう?」
「当然だ」
——ザッ!!
カインが地を蹴る。
「行くぞ、ハーブ!!」
彼の剣が、黒い閃光となってハーブを襲う!
——ギィィンッ!!
ハーブは間一髪で受け止めるが、凄まじい衝撃が全身を貫いた。
「くっ……!」
「その程度か?」
カインは容赦なく攻め立てる。
鋭い斬撃の連撃。重い剣筋。圧倒的な力の差。
「……ハーブ、押されている?」
雪奈が不安そうに呟く。
「違う……」玲華が目を細めた。「ハーブが本気を出せば、互角以上に戦えるはず……なのに、なぜ?」
——ハーブは、あえて防戦に徹している。
⸻
◆戦いの意味
「……貴様の動きが鈍いな、ハーブ」
カインが鋭く睨む。
「俺を甘く見ているのか?」
「……いや、お前を知るためだ」
「知る?」
ハーブは剣を振り払って距離を取ると、真っ直ぐカインを見据えた。
「黒鋼会は、なぜ王都を封鎖した? 何が目的だ?」
「……貴様が知る必要はない」
「そうか。なら……力ずくで聞き出すまでだ!」
——ゴッ!!
ハーブの剣が、カインの刃を弾き飛ばした。
「なに……!?」
「そろそろ反撃させてもらうぞ、カイン」
ハーブの剣が、本気を見せる——!
⸻
◆仮面の下の真実
「ふん……やっとその気になったか」
カインも再び構え直す。
だが——
「……何?」
その瞬間、王都の中心部から 轟音 が響いた。
「……っ!?」
「何が……起こったの?」
「……まさか」
カインの表情がわずかに揺らぐ。
「……時が来たか」
彼は剣を収め、静かに後退した。
「待て、カイン!!」
ハーブが追おうとした瞬間——
——ドオォォォォン!!!
王都の中心部に 巨大な爆発 が発生した!!
王都で、何かが起ころうとしている——!!
⸻
◆次回予告
カインとの戦いの最中、王都で起きた大爆発。
その背後に潜む、黒鋼会の真の目的とは——!?
次回、第95話「王都の夜明け」
新たなる脅威が、ついに動き出す——!!
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