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第9話 冷徹なる試練、迫る黒鋼会

玲華がそう言い放った瞬間、ハーブはわずかに眉を上げた。


「試す、ね……俺に勝てると思っているのか?」


「そう簡単にはいかないわ」


玲華の目が鋭く光る。彼女の冷静な態度の奥には、確固たる自信があった。


「この場でやるのか?」


「いいえ、明日の放課後。人気のない場所を用意するわ」


ハーブは玲華の態度から、彼女が単なる好奇心で動いているのではないことを悟った。


(本気で俺を試すつもりか……それだけ、黒鋼会の脅威を感じているということか?)


ハーブは軽く肩をすくめた。


「分かった。乗ってやる」


玲華は満足そうに頷くと、すっと身を翻した。


「明日、楽しみにしているわ」


その背中を見送りながら、ハーブは小さく息を吐いた。


(どうやら、ここでも剣を振るうことになりそうだな……)



翌日——放課後。


ハーブが玲華に指定された場所へ向かうと、そこは学園裏の廃校舎だった。


「待たせたわね」


玲華は既に待ち構えていた。彼女の手には、木刀が握られている。


「ここなら、誰にも邪魔されない」


「なるほど……準備がいいな」


ハーブもまた、用意されていた木刀を手に取る。


「本気で来ていいのか?」


「もちろん」


玲華が構える。彼女の立ち姿は隙がなく、鋭い剣気が滲み出ていた。


「——行くわ」


次の瞬間、玲華の木刀が鋭く振り抜かれた。


ハーブは即座にそれを見切り、紙一重でかわす。


「ほう……」


(速い……!)


玲華の剣は一撃一撃が無駄なく、精密に計算されている。


ハーブは受け流しながらも、彼女の剣筋を分析していた。


(この動き……剣道だけじゃないな)


玲華の剣には、実戦を意識した動きが組み込まれていた。


「……本当に、普通の生徒じゃないんだな」


ハーブがそう呟いた瞬間——


「甘い!」


玲華が踏み込んだ。


一瞬の隙を突かれ、ハーブは木刀を弾かれる。


玲華の木刀がハーブの喉元に突きつけられた。


「——私の勝ち、ね」


「いや」


ハーブは微笑んだ。


「本気なら、今の瞬間に反撃してる」


玲華が一瞬、目を見開く。


「俺が剣を振るえば、お前はまだ防ぎきれてなかった」


ハーブの言葉に、玲華は数秒沈黙した後、小さく息を吐いた。


「……なるほどね」


彼女は木刀を下げると、口元に微笑を浮かべた。


「あなたの実力、認めるわ」


「それで……お前はどうする?」


玲華は静かに答える。


「私は黒鋼会を潰す。貴方が力を貸してくれるなら、歓迎するわ」


「なるほど……考えておこう」


玲華は満足そうに頷いた。


「これからも、よろしく頼むわ」



——その頃、校舎の陰からその様子を見つめる影があった。


「……やっぱり、アイツは本物だな」


黒鋼会の一員と思われる男が、不敵な笑みを浮かべる。


「報告しねぇとな……」


黒鋼会が本格的に動き出す。


新たな戦いの幕が、静かに開こうとしていた——。


次回、第10話「黒鋼会の暗躍」


玲華と手を組むハーブ。しかし、黒鋼会はすでに彼を標的としていた——。

読んでくださりありがとうございます!


更新頻度ですがなるべく毎日11時頃と22時頃の2話投稿を目指します!


感想など書いていただくと今後の励みになるのでどんどんコメントしてください!

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