第83話 黒霧区の死闘
黒霧区の異変
王都の外れ、黒霧区——。
かつて犯罪者たちの隠れ家だったこの場所は、今や王都の影の一部となり、昼間でも不気味な霧が立ち込める区域となっていた。
「ここに、敵の本拠地があるのね……」
玲華が警戒しながら剣を握る。
「気をつけろ……ここは何かがおかしい」
ハーブは周囲の霧を注意深く観察する。
この霧はただの自然現象ではない——異質な魔力を帯びていた。
「……まるで、誰かが操っているみたいですね」
雪奈が不安げに呟いた。
「その通りだよ」
不意に霧の中から、低い声が響く。
「!」
ハーブたちが構えると、ゆっくりと人影が霧の中から現れた。
「私はゼヴァルド——王都の闇に生きる者。そして、お前たちの墓守となる男だ」
黒衣をまとった長身の男——ゼヴァルド。
彼の手には、黒い魔力をまとった大剣が握られていた。
「面倒なことになりそうね……!」
玲華が剣を構え、戦闘態勢に入る。
死闘の幕開け
「さあ、楽しませてもらおう」
ゼヴァルドは霧の中に消えるように動き——次の瞬間、玲華の背後に現れた。
「——ッ!」
玲華は咄嗟に剣を振るが、ゼヴァルドは軽々と回避し、大剣を振り下ろす。
「くっ……!」
玲華は間一髪で避けたものの、衝撃波が地面をえぐった。
「速い……! しかも、この霧のせいで位置が掴みにくい!」
「なら、霧ごと吹き飛ばすまでだ」
ハーブが剣に力を込め、地を蹴った。
「——霧閃」
ハーブの剣から衝撃波が放たれ、霧を切り裂く。
しかし——
「甘いな」
ゼヴァルドは霧の中から再び現れ、ハーブの背後に迫る。
「しまっ——」
ゼヴァルドの大剣が振り下ろされる——。
その瞬間——
「させません!」
雪奈が杖を掲げ、光の壁を展開した。
「ほう……なかなかやるじゃないか」
ゼヴァルドは笑みを浮かべながら後退する。
「この霧がある限り、私は無敵だ。さあ、お前たちに打ち破れるかな?」
「……甘く見るなよ」
ハーブは剣を握り直し、霧を払うように振るった。
「玲華、雪奈——連携するぞ!」
「ええ!」
「……はい!」
ハーブたちの反撃が、今始まる——!
次回予告
黒霧の中で繰り広げられる激闘。
ゼヴァルドの圧倒的な実力を前に、ハーブたちは勝機を見出せるのか!?
次回、第84話「霧の刃」
戦いの行方は——!?
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