第75話 暗躍する影
ラミアスの敗北
「——俺の負けだ」
ラミアスの双剣から蒼炎が消え、ハーブの剣が彼の肩口に触れていた。
戦いの余韻が漂う中、ハーブは静かに剣を下ろした。
「終わりか?」
ラミアスは苦笑しながら肩をすくめる。
「どうやらな。お前が俺を超えたってことだ」
「……」
ハーブはまだ警戒を解いていなかったが、ラミアスは本当に戦意を失ったように見えた。
「お前の剣、見事だったよ」
「……お前の剣もな」
短い言葉を交わした後、ラミアスは後退した。
そして、空間の歪みが生じると、彼の姿はゆっくりと消えていった。
「またな、ハーブ」
そう言い残し、ラミアスは完全に姿を消した——。
迫りくる不穏な影
「ハーブ!」
玲華と雪奈が駆け寄る。
「大丈夫ですか?」
雪奈の手がハーブの腕に触れると、優しい光が包み込んだ。
「……助かる」
ハーブは小さく息をついた。
玲華は腕を組みながら、複雑な表情を浮かべる。
「アイツ……ラミアスは、何が目的だったんだ?」
「……」
ハーブは考える。
ラミアスは”試すような戦い方”をしていた。
ただの敵ではなく、何かを見極めようとしていた——。
「わからない……だが、これで終わりじゃない気がする」
その言葉に、玲華も雪奈も頷いた。
だが、その背後で——
誰も気づかぬ場所から、一つの影が彼らを見ていた。
「フフ……なるほど、なかなか面白いじゃないか」
闇の中から、紅い瞳が鈍く光る。
「次は……俺の番だな」
不気味な笑みとともに、影は音もなく消えた。
次回予告
ラミアスとの戦いを終えたハーブたち。
しかし、見えざる脅威がすでに動き始めていた——。
次回、第76話「紅き死神」
新たな強敵が、その姿を現す——!
読んでくださりありがとうございます!
更新頻度ですがなるべく毎日11時頃と22時頃の2話投稿を目指します!
感想など書いていただくと今後の励みになるのでどんどんコメントしてください!