第73話 廃工場の死闘
ラミアスの宣告
薄暗い廃工場に、蒼い炎のような気が揺らめく。
ハーブは静かに剣を構え、対峙する男——ラミアスを見据えていた。
玲華と雪奈もすぐ側にいるが、ラミアスの気迫に思わず身を固くする。
「……お前がハーブか」
ラミアスは双剣を軽く回しながら、低く呟いた。
「黒鋼会が最も警戒する”異世界の剣士”。実際に見るのは初めてだが……噂以上かもな」
「わざわざ俺を試しに来たのか?」
ハーブは剣の柄を強く握りながら問いかける。
「いいや、“処分しに来た”」
ラミアスは静かに言い放つ。
「お前がここで消えれば、黒鋼会の未来は安泰だ。だから、悪いが——ここで死んでもらう」
玲華が鋭く睨む。
「ふざけないで。私たちは簡単にやられるほど甘くない」
「ははっ、そうか……ならば証明してみせろ」
ラミアスが一歩踏み出した瞬間——
空気が歪むほどの殺気が放たれた。
蒼炎の剣舞
「——行くぞ」
ラミアスが双剣を振るうと、蒼い炎が軌跡を描くように放たれた。
「っ!」
ハーブが剣で弾くが、炎の圧力に押されて後退する。
「この炎……!」
玲華が驚愕する。
「魔力が……違う。まるで、生きているみたい……!」
ラミアスは微笑む。
「これは”蒼炎”。俺の魔剣術だ」
彼の剣が光を帯び——次の瞬間、瞬く間に間合いを詰める。
「速い……!」
ハーブが咄嗟に剣を合わせるが、衝撃が腕に響いた。
(こいつ……本物の剣士だ!)
斬撃の応酬が続く。
蒼い炎が空を舞い、鉄の音が火花となる。
玲華と雪奈は距離を取るが、その速さに割って入る余裕がない。
「ハーブさん……!」
雪奈が心配そうに叫ぶが、ハーブは静かに息を整える。
「——まだ、終わりじゃない」
ハーブの剣がわずかに輝き始めた。
玲華がそれに気づく。
(あれは……まさか!?)
次回予告
ラミアスの”蒼炎”に対し、ハーブの剣が新たな輝きを見せる。
互いの剣が交差する時、戦いの行方は——?
次回、第74話「決戦の刻」
剣士たちの覚悟が、交差する——!
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