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第70話 影の動き

静かなる脅威


夜の静寂の中、黒鋼会のアジトの一室で、ローブを纏った男が膝をついていた。


その前に立つのは、黒鋼会の幹部の一人——“紅蓮のヴァルド”。


「……で? 雪奈が”均衡の鍵”だと?」


鋭い目でローブの男を睨みつける。


「はい。確証はありませんが、情報は確かです。異世界の王・アストレイアの血を引く者……おそらく彼女に”門を開く力”があるかと」


ヴァルドは顎に手を当て、しばし考え込んだ。


「“門”か……」


ローブの男は慎重に言葉を選びながら続ける。


「異世界との”門”を開く力を持つ者がいれば、こちらの世界への干渉が可能になるはず。黒鋼会の悲願——“真なる王の復活”も現実味を帯びてきます」


ヴァルドはニヤリと笑う。


「面白い。ならば、雪奈を確保する準備を進めろ」


ローブの男は深く頷いた。


「すでに”影”が動き出しております。今夜、第一段階の作戦を実行します」


ヴァルドは満足そうに頷いた。


「抜かりなくやれよ」


「……承知しました」


ローブの男は静かに姿を消した。


そして——


闇の中で、“影”たちが動き出していた。


襲撃の予兆


一方、その頃。


ハーブたちは学院の寮に戻り、今後の対策を話し合っていた。


「……つまり、雪奈の”均衡の鍵”としての力を狙う勢力がいる可能性が高い、ってことか」


玲華が腕を組みながら言う。


「はい……。黒鋼会がどこまで把握しているかは分かりませんが、私が異世界の王族であることが知られれば、ますます狙われるかもしれません……」


雪奈は不安そうに俯く。


ハーブは静かに頷いた。


「なら、護衛を強化するしかないな。玲華、学院の警備体制を調べてくれ」


玲華は即座に頷く。


「了解。信頼できる生徒会メンバーにも相談してみる」


「頼む」


ハーブは雪奈を見つめる。


「雪奈、お前はできるだけ一人にならないようにしろ。常に俺か玲華と行動を共にしてくれ」


雪奈は少し戸惑いながらも、こくりと頷いた。


「……分かりました」


ハーブは剣を握りしめる。


(黒鋼会が動くなら、俺も本気で対処しなければ……)


その時——


バチッ!


部屋の電灯が一瞬、点滅した。


玲華が眉をひそめる。


「……何?」


ハーブは即座に窓の外を確認した。


(……嫌な気配がする)


そして——


ドンッ!!!


学院の外れで爆発音が鳴り響いた。


「っ!!」


玲華が即座に窓から外を見る。


「何!? まさか……!」


ハーブは素早く剣を手に取り、立ち上がる。


「行くぞ!」


雪奈を守るため、ハーブと玲華は学院の外へと駆け出した——。


影の刺客


学院の中庭にたどり着いたハーブたちの前に、数人の黒い影が立ちふさがっていた。


黒鋼会の戦闘員とは違う、異質な気配を放つ彼ら。


その中心にいるのは、ローブを纏った男。


「……ようこそ、お待ちしていましたよ」


低く冷たい声が響く。


玲華が剣を抜き、鋭く睨む。


「アンタ、誰?」


「私は”影の執行者”。ただ、主の命を遂行する者にすぎません」


男が手をかざすと、影の兵士たちが一斉に襲いかかってきた。


「くっ……!」


玲華が迎え撃ち、ハーブも剣を構える。


「雪奈、下がってろ!」


「で、でも……!」


「大丈夫、私たちが守る!」


玲華が剣を振るい、影の兵士を切り裂く。


だが——


スッ……


次の瞬間、影がまるで霧のように消え、背後に回り込んできた。


「なっ……!」


ハーブが即座に雪奈を引き寄せ、剣で防ぐ。


ガキィンッ!!


「ちっ……!」


(こいつら……普通の敵とは違う!)


執行者は冷静に笑みを浮かべる。


「なるほど……さすがは”最強”の剣士」


そして、目を細めた。


「しかし、今回は”戦うこと”が目的ではない」


ハーブが警戒を強める。


「……どういうことだ?」


執行者はニヤリと笑うと、スッと手をかざした。


「“均衡の鍵”は、確かにここにある……それを確認できただけで十分だ」


次の瞬間——


影の兵士たちが霧のように消え去った。


そして、執行者もまた、静かにその場から姿を消す。


玲華が剣を握りしめたまま、悔しそうに言う。


「……逃げられた?」


ハーブは剣を収めながら、険しい表情を浮かべた。


(奴らの狙いは、雪奈の力を確認すること……?)


雪奈は震える手を胸に当て、呟く。


「私は……狙われている……」


玲華が優しく雪奈の肩に手を置く。


「大丈夫、私たちがいる」


ハーブも静かに頷く。


「……どんな敵が来ようと、俺はお前を守る」


雪奈は二人の言葉に安心し、小さく微笑んだ。


しかし——


黒鋼会の影は、確実に迫っていた。


そして、その裏には……さらなる脅威が潜んでいた——。


次回予告


雪奈の力を狙う黒鋼会。


その背後には、さらなる”異世界の勢力”が——。


次回、第71話「異端の王子」


新たな敵が、ついに姿を現す——!

読んでくださりありがとうございます!


更新頻度ですがなるべく毎日11時頃と22時頃の2話投稿を目指します!


感想など書いていただくと今後の励みになるのでどんどんコメントしてください!

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