第66話 剣聖の覚醒
決戦の幕開け
「俺の剣で、お前を討つ!」
ハーブが光を纏いながら、“深淵の獣”へと斬りかかる。
「グォォォォォォ!!!」
“深淵の獣”は巨体を揺らしながら咆哮し、無数の闇の刃を放った。
ハーブはそれを見極め、一閃——!
「光牙閃!」
剣から放たれた斬撃が、闇の刃を相殺しながら獣の胴体へと叩き込まれる。
ズバァァァァッ!
衝撃で獣の体に大きな傷が刻まれたが、それでも倒れない。
「クソッ、こいつ……!」
獣の傷口がすぐに闇のエネルギーで再生される。
(こんな再生力じゃ、普通に戦っても埒が明かない……)
ハーブが次の手を考えようとした瞬間——
「ククク……甘いな、ハーブ」
黒鋼会の幹部が姿を現し、闇の魔力を操りながら不敵に笑った。
「貴様がどれほど足掻こうと、この”深淵の獣”は絶対に倒せん」
幹部の手から黒い光が放たれ、それが獣の体に注がれると——
「グォォォォォォ!!!」
獣のオーラがさらに増大した。
ハーブは剣を握りしめる。
(……これ以上、時間をかけるわけにはいかない)
ハーブは大きく息を吸い込み、心を静めた。
そして——
「……“剣聖”の力、試させてもらう」
剣聖の覚醒
ハーブの身体から光の波動が広がり、剣が神々しい輝きを放ち始めた。
黒鋼会の幹部が驚愕する。
「な、なんだと……!? その光は……!」
ハーブの剣が、純粋な聖なるエネルギーを帯びていく。
まるで闇を断ち切るための刃のように——
「……行くぞ」
ハーブが一瞬で獣の足元に移動し、斬撃を放つ。
「閃光烈破!」
純白の剣閃が獣の体を貫き、闇のエネルギーを無効化していく。
「グォォォォォォッ!?」
獣の体が崩れ始め、幹部が焦りの表情を浮かべる。
「バカな……! こんな力が……!」
ハーブは静かに剣を振り上げ、最後の一撃を放つ。
「これで終わりだ!」
「光刃天翔!」
剣から放たれた巨大な光の斬撃が獣を両断し、その体を完全に消し去った。
「グ、グオォォォォ……!!!」
轟音と共に、“深淵の獣”が光となって消滅する。
戦場に、静寂が訪れた——。
戦いの終焉
学院を覆っていた闇が晴れ、生徒たちが歓声を上げる。
「やった……!」
「勝ったんだ……!!」
ハーブは剣を収め、深く息をついた。
玲華と雪奈が駆け寄ってくる。
「ハーブ、無事……!?」
「はい……お疲れ様です、ハーブさん」
ハーブは苦笑しながら頷く。
「なんとか、な」
黒鋼会の幹部たちは撤退し、戦いは終わった。
しかし——
ハーブは微かに感じていた。
(……これは、まだ始まりに過ぎない)
新たな戦いの予感を胸に、ハーブたちは学院を守り抜いた勝利を噛みしめるのだった——。
次回予告
学院を守り切ったハーブたち。
だが、黒鋼会の本当の目的は別にあった——。
次回、第67話「狙われた姫」
雪奈に忍び寄る、さらなる脅威とは……!?
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