第53話 剣閃の極地
エゼキエルの猛攻
ガキィィィン！！
鋭い剣戟が響き渡る。
ハーブとエゼキエルの剣がぶつかり合い、衝撃波が周囲に広がる。
「っ……！！」
ハーブは剣を受け止めるが、その重さは尋常ではない。
エゼキエルは微笑みながら呟いた。
「まだ本気を出していないぞ、剣聖」
その言葉と同時に——
——シュン！！
エゼキエルの姿がかき消える。
「また消えた！？」
玲華が叫ぶ。
ハーブは冷静に剣を構える。
（この動き……シグヴァルドの“影疾風”とは違う……）
直感的に理解する。エゼキエルは単に速いのではない。
「剣気の位相をズラしている……！」
ミラが目を見開いた。
「まさか……空間を斬り裂いてるの！？」
——ザンッ！！
「ぐっ……！！」
ハーブの頬に細い切り傷が刻まれる。
玲華が歯を食いしばる。
「ハーブ……このままじゃ……！」
雪奈は手を強く握りしめる。
「ハーブさん……！」
エゼキエルがふっと微笑んだ。
「……理解できたか？」
「……！」
「私は、空間そのものを斬る。ゆえに、お前の攻撃はすべて遅れるのだ」
ハーブは剣を握りしめる。
「……だからどうした」
エゼキエルが目を細める。
「ほう？」
ハーブは一歩踏み込み、剣を構えた。
「ならば、俺は——それを超える」
エゼキエルが興味深げに目を細める。
「……言ってみろ」
ハーブはゆっくりと息を吸い込む。
「——剣閃・極限」
次の瞬間——
ガキィィィン！！！
空間が揺れた。
エゼキエルの動きが、一瞬、止まる。
玲華が息を呑む。
「……な、何！？ 空間が……震えた……！？」
ミラが驚愕の声を上げる。
「まさか……剣気で空間のズレを無効化した！？」
雪奈はハーブをじっと見つめる。
「……ハーブさん……」
エゼキエルが笑った。
「なるほど……この戦い、ようやく面白くなってきた」
そして——
剣士同士の、極限の戦いが始まる。
次回予告
ハーブとエゼキエルの戦いは、新たな局面を迎える。
極限の剣技が交錯する中、ハーブはさらなる覚醒の兆しを見せる。
次回、第54話「光と闇の狭間」
剣士の極地、その先に待つものとは——！？
読んでくださりありがとうございます！
更新頻度ですがなるべく毎日11時頃と22時頃の2話投稿を目指します！
感想など書いていただくと今後の励みになるのでどんどんコメントしてください！
