第47話 森の番人
迷いの森、試練の続き
霧が晴れたわけではないが、ハーブたちはそれぞれの幻影を乗り越え、先へ進んでいた。
玲華が険しい表情で呟く。
「厄介な森ね……今度はどんな仕掛けが待ってるのかしら」
雪奈も慎重に周囲を見回す。
「何も起こらなければいいのですが……」
しかし、その願いは叶わなかった。
突然、森全体が揺れた。
——ズズズッ……!!
地面が割れ、巨大な木の根がせり上がる。
「……何?」
ミラが素早く詠唱の構えを取る。
「来るわ……!」
その瞬間——
霧の中から、異形の怪物が姿を現した。
それは巨大な木の獣。
全身が絡み合うような木の根とツタでできており、目の部分には妖しく光る緑の魔石が埋め込まれている。
玲華が剣を構える。
「……あれが“森の番人”ってわけ?」
ミラが鋭く答えた。
「ええ、この迷いの森の“核”を守る存在よ!」
森の番人は、低いうなり声を上げると、無数の根を鞭のように振るった。
「っ! くるぞ!」
森の番人 VS ハーブたち
——ヒュンッ!
素早く迫る根の鞭を、ハーブは剣で弾く。
ガキィン!!
衝撃が腕に響くほどの威力。
「っ……こいつ、ただの木の化け物じゃない……!」
玲華も根の攻撃をかわしながら、刀を振るった。
「“斬魔一閃”!」
シュパァンッ!!
鋭い一撃が根を切り裂く——かと思ったが、すぐに再生してしまう。
「くっ……再生能力があるの!?」
ミラが分析する。
「おそらく、核を破壊しない限り無限に回復するわ!」
「核はどこに!?」
雪奈が叫ぶと、森の番人が咆哮し、体を覆うツタが大きく開いた。
そこには——
胸部に埋め込まれた巨大な魔石があった。
ミラが叫ぶ。
「あれよ! あれを破壊すれば……!」
「よし、ならば!」
ハーブが剣に力を込めた。
「——突破する!!」
決着! ハーブの秘技
森の番人は、さらなる猛攻を仕掛けてくる。
——ズガァァァン!!
地面を抉るほどの一撃。
玲華と雪奈は回避しつつ、隙を作るために動いた。
「ハーブ、チャンスを作るわ!」
玲華が一気に踏み込む。
「“迅雷撃”!!」
素早い連撃で、番人の動きを封じる。
ミラも魔法を発動。
「“雷槍”!!」
雷が魔石に向かって落ちる——が、ツタに弾かれる。
「くっ……直接叩き込むしかないわね!」
雪奈が懸命に叫ぶ。
「ハーブさん……お願いします!」
ハーブは深く息を吸い込み、剣を構えた。
「任せろ!」
剣に青白い光が宿る。
「“蒼閃・終撃”!!」
全力の一撃を込め、ハーブは森の番人の胸へ跳躍する。
「——これで終わりだ!!」
ドゴォォォン!!!
魔石が砕け、番人が断末魔の咆哮を上げる。
——ズゥゥゥ……ン
巨大な体が崩れ、静寂が訪れた。
霧が晴れる。
空が見える。
玲華が大きく息をついた。
「……終わった?」
ミラが頷く。
「ええ、もう迷いの森は機能を失ったはずよ」
雪奈もほっと胸をなでおろす。
「よかった……」
ハーブは剣を納め、前を向いた。
「さあ、進もう。まだ目的地は先だ」
霧の晴れた森の奥に、新たな道が開かれていた——。
次回予告
迷いの森を突破したハーブたち。
しかし、その先には新たな脅威が待ち受けていた——。
次回、第48話「影の城塞」
異世界の深淵へ、物語は加速する——!
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