第44話 崩壊する塔
時計塔、崩壊の危機
「——やばい!」
ミラの叫びとともに、時計塔全体が大きく揺れた。
ズズズ……!
壁に無数の亀裂が走り、天井から瓦礫が崩れ落ちる。
玲華が焦った声を上げる。
「ちょっと、待って! どういうこと!?」
ミラが険しい表情で答える。
「シグヴァルドの闇の力が消えたことで、塔の構造が持ちこたえられなくなったのよ!」
「それって……つまり……?」
「このままじゃ、私たちもろとも崩れ落ちるってこと!」
玲華が顔を青ざめる。
「ええっ!? そんなの聞いてないんだけど!!」
ハーブは剣を収め、周囲を見回した。
「出口を探すぞ!」
雪奈が不安そうに言う。
「でも……上に登ってきた階段が、すでに崩れかけています……」
玲華が奥の通路を指さす。
「あっち! まだ崩れてない!」
「行くぞ!」
ハーブが駆け出し、玲華、ミラ、雪奈も続く。
しかし——
——ドォォン!!!
天井が崩れ、大きな瓦礫が行く手を塞いだ。
「しまった……!」
ミラが歯を食いしばる。
「くそっ、他の道は!?」
玲華が辺りを見回すが、時間がない。
ズズズ……
塔全体が傾き始める。
「このままじゃ、全員巻き込まれる……!」
ハーブは剣を握り直し、瓦礫に向かって一歩踏み出した。
「ならば、切り開く!」
——“剣閃・烈破”!
鋭い衝撃波が飛び、瓦礫を粉砕する。
「やった!」
玲華が喜ぶが、すぐに新たな崩落が発生しそうな気配がする。
「急げ!」
ハーブが叫び、一同は瓦礫を飛び越えながら通路を進む。
時計塔の最上部へ
「この先は……?」
ミラが階段を指差す。
「最上階への道よ!」
「最上階? そこに出口があるのか!?」
玲華が疑問を投げかけるが、ミラは即答する。
「この塔のてっぺんには転移魔法陣があるはずよ! それを使えば——!」
「なるほど、そこを目指すしかないな!」
一行は崩れかけた階段を駆け上がる。
しかし——
——ゴゴゴゴ……!
階段が突然大きく崩れ、雪奈がバランスを崩した。
「きゃっ!」
「雪奈!」
玲華が手を伸ばすが、雪奈は足を踏み外し、落下しそうになる。
「——くっ!」
その瞬間、ハーブが素早く動き、雪奈の腕を掴んだ。
「大丈夫か!?」
「は、はい……」
雪奈の顔は青ざめていたが、ハーブがしっかりと彼女を引き上げる。
「ありがとう……ハーブさん……」
「今は礼よりも、早く脱出することを考えろ!」
ハーブは雪奈の手を強く握り直し、一緒に駆け出す。
最上階、転移魔法陣
ついに、一行は最上階にたどり着いた。
そこには、朽ちかけた魔法陣が描かれた床があった。
「これが……転移魔法陣!?」
玲華が驚く。
「まだ動くの?」
「試すしかないわ!」
ミラが急いで魔法陣に手をかざし、呪文を唱える。
——ゴォォォォン!!!
塔の崩壊がさらに加速する。
「まずい、時間がないぞ!!」
「急いで!!」
ミラの魔力が魔法陣に注ぎ込まれ、淡い光が広がる。
——ピシッ!
だが、その時、魔法陣に走る亀裂——。
「くそっ、崩れかけてる!」
「間に合うの!?」
玲華が叫ぶ。
「やるしかない!」
ハーブは雪奈、玲華、ミラの手をそれぞれ掴み、魔法陣の中心に立った。
「飛べえええええ!!!」
ミラが魔力を最大限に込め、魔法陣を発動させる。
——パァァァァァァッッ!!!
光に包まれた一行は、塔の崩壊とともに消え去った——。
次回予告
崩壊する時計塔から間一髪脱出したハーブたち。しかし、転移の影響でたどり着いた場所は思わぬ場所だった……!?
新たなる試練が、彼らを待ち受ける。
第45話「迷いの森」
ハーブたちは、新たな謎に挑む——!
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