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第43話 剣に誓いを

深紅の時計塔・戦いの行方


ハーブの剣が淡く光を放つ。


玲華とミラが驚きの表情を浮かべる中、雪奈が呆然と呟く。


「ハーブさんの剣が……光っている?」


シグヴァルドは微かに目を細めた。


「ようやく、その片鱗が見えたか……」


闇の波動が渦巻く塔の中で、ハーブは静かに剣を握り直した。


「……誓い、か」


先ほどの記憶の世界で聞いた言葉が脳裏をよぎる。


——“剣は誓いのために”


自分は何を誓い、剣を振るうのか。


それを知ることが、真の力を手にする鍵になる。


「お前は何を思い出した?」


シグヴァルドが問いかける。


ハーブは答えず、静かに構えた。


「……ならば、試してみるとしよう」


シグヴァルドが剣を振り上げる。


——シュン!


一瞬で姿が消え、次の瞬間——


ガキィン!!


火花を散らして剣と剣がぶつかる。


だが——


「……!?」


シグヴァルドの動きが、わずかに止まった。


「なに……?」


ハーブの剣が、まるでシグヴァルドの動きを読んだかのように、的確に迎撃していた。


「……そうか」


ミラが驚きの声を上げる。


「ハーブの剣……シグヴァルドの“影疾風”を完全に見切っている!?」


玲華が目を見開く。


「でも、どうして……?」


ハーブは静かに言った。


「……もう、お前の剣は見切った」


シグヴァルドの表情が僅かに険しくなる。


「何を言っている?」


「お前の技、“影疾風”はただの瞬間移動じゃない……お前自身の“意識”がほんの僅かに先行して動いている」


玲華がはっとする。


「つまり……!」


「お前が“どこに出るか”は、剣を構えた時の微細な気配の揺れで予測できる」


ハーブは剣を横に振る。


「それさえ分かれば——もう、お前の速さは脅威じゃない」


シグヴァルドの目が鋭く光る。


「……なるほど、ならば」


——シュン!


再び姿を消し、今度は左右から複数の残像が現れる。


「……幻影?」


玲華が警戒する。


だが——


「無駄だ」


ハーブの剣が閃いた。


一閃。


光が弾け、残像が霧散する。


「……っ!」


シグヴァルドの肩に、浅い傷が刻まれていた。


「何……?」


「お前の“影”は、お前自身の動きを映すもの……本体と影の気配は微妙に違う」


ハーブは静かに剣を構え直す。


「もう、お前の全ては見えた」


玲華が呆然と呟く。


「……ハーブ、すごい」


ミラが冷静に言う。


「いや……これが本来の彼の力よ」


——ハーブの“剣の才”が、今ここに覚醒する。


決着の時


「……面白い」


シグヴァルドが薄く笑った。


「ならば、最後に試させてもらうか」


黒い波動が彼の剣に集まる。


「“冥王剣・終焉”」


漆黒の刃が塔全体を覆うほどの闇を纏う。


「これは……!」


玲華とミラが息を呑む。


シグヴァルドはゆっくりと剣を振りかぶる。


「これを防げるか?」


ハーブは息を整え、剣を構えた。


「……私の剣は」


剣の輝きが強くなる。


「誓いのためにある」


雪奈が不安そうに見つめる中——


ハーブの剣が光り輝く。


——“剣閃・誓約”!


白銀の光が放たれ、黒い闇と激突する。


——ドンッ!!!


塔が揺れ、爆発的な衝撃波が吹き荒れる。


玲華とミラが咄嗟に防御の構えを取る。


雪奈は思わず目を閉じる。


「ハーブさん……!」


——そして、静寂が訪れた。


戦いの果て


砂埃が収まり——


そこに立っていたのは、ハーブだった。


剣を構えたまま、ゆっくりと息を整えている。


シグヴァルドは、膝をついていた。


「……見事だ」


シグヴァルドの剣は、砕け散っていた。


「これが……お前の“剣”か」


ハーブは静かに頷く。


「……ああ」


シグヴァルドは苦笑した。


「ならば、果たせ……お前の誓いを」


そう言い残し——


シグヴァルドの身体は、闇に溶けるように消えていった。


玲華が駆け寄る。


「ハーブ! 大丈夫!?」


「……ああ」


ミラが腕を組む。


「まったく……とんでもない奴ね」


雪奈が安堵の表情を浮かべる。


「本当に……よかった」


ハーブは剣を収めた。


「……これで終わった」


そう呟いた瞬間——


——ズズズ……


時計塔全体が、大きく揺れた。


玲華が驚く。


「えっ!? なに!?」


ミラが険しい表情で言う。


「……マズいわね。塔が崩れる!」


ハーブが歯を食いしばる。


「……急ぐぞ!」


戦いは終わった。しかし、まだ試練は終わらない——。


次回予告


激闘の末、シグヴァルドを打ち破ったハーブたち。

しかし、時計塔が崩壊を始める。


間一髪で脱出を試みる彼らだったが……!?


次回——


「崩壊する塔」


新たな脅威が、すぐそこに——!

読んでくださりありがとうございます!


更新頻度ですがなるべく毎日11時頃と22時頃の2話投稿を目指します!


感想など書いていただくと今後の励みになるのでどんどんコメントしてください!

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