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第38話 影の暗殺者

対峙する刃


「ハーブ、今度こそ死んでもらう」


漆黒のマントを纏った男が、冷たく告げる。


ハーブはすぐさま距離を取るが、男の動きは素早かった。


——ヒュンッ!


黒い短剣が空を裂き、ハーブの顔すれすれをかすめる。


(……速い)


ハーブは瞬時に分析する。


「玲華! 雪奈! ミラ! 下がれ!」


「っ……!」


玲華が歯を食いしばりながら後退する。


「……また、新手ですか?」


ミラが探るように相手を見つめる。


雪奈は不安そうにハーブを見つめた。


「ハーブさん……」


しかし、ハーブは微動だにしない。


「お前……黒鋼会の者か?」


男は薄く笑った。


「さあな。だが、お前を殺すよう命じられているのは確かだ」


「なら、答えは聞かなくてもいい。お前を倒す」


ハーブは剣を構えた。


男は短剣を逆手に持ち、静かに構える。


「……面白い」


そして——


——ドンッ!!


二人の戦いが始まった。


暗殺者の技


——キンッ! キンッ!!


剣と短剣がぶつかり合い、火花が散る。


ハーブは鋭い斬撃を繰り出すが、男は驚異的な速度でそれをかわし、反撃の短剣を繰り出してくる。


「……ッ!」


ハーブは紙一重で回避し、反撃に転じる。


(この速度、並じゃない……!)


男は笑った。


「お前の剣、悪くない。だが、俺には通じない」


——スッ。


男の姿が消えた。


「どこだ!?」


玲華が叫ぶ。


「上です!」


雪奈の未来視が警告を発する。


ハーブはすぐさま上を見上げた。


「……くっ!」


男が空中から襲いかかる。


ハーブは防御の態勢を取るが——


——ヒュンッ!!


次の瞬間、背後にもう一人の気配を感じた。


「……二人!?」


男が分身したかのように、もう一つの影が背後から襲いかかる。


(しまった——!)


ハーブは回避しようとするが、すでに遅い。


男の短剣が、ハーブの腕を裂いた。


「……っ!」


鮮血が舞う。


玲華と雪奈が悲鳴を上げる。


「ハーブ!」


「ハーブさん!」


しかし、ハーブは倒れない。


「……なるほどな」


彼は剣を構え直した。


「今ので、お前の技の正体が分かった」


男は驚いたように目を細める。


「……ほう?」


「お前が使ったのは、単なる分身じゃない。幻影を伴う高速移動……違うか?」


男はニヤリと笑った。


「なるほど……さすがだな」


だが、ハーブはすでに次の手を考えていた。


「だが、見切った以上、二度は喰らわない」


反撃の刃


「ふふ……なら、次の攻撃を避けてみろ」


男は再び消えた。


「……どこに?」


玲華が周囲を見回す。


しかし、ハーブは動じない。


「……そこだ!」


——ガキンッ!!


ハーブの剣が、男の短剣を弾いた。


「なっ!?」


「もう通じないと言っただろ」


男は驚愕する。


(こいつ……俺の動きを完全に読んだ……!?)


次の瞬間——


——ザシュッ!!


ハーブの剣が男の肩を斬り裂いた。


「……ぐっ!!」


血が飛び散る。


男は苦悶の表情を浮かべながら後退した。


「……くそっ、まさかここまでとは」


「これで終わりだ」


ハーブが最後の一撃を放とうとしたその時——


——パァンッ!!


銃声が響いた。


「っ!?」


男の背後から、さらに別の敵が狙撃してきた。


ハーブはとっさに回避するが、その間に男の姿が霧のように消えた。


「……逃げられたか」


剣を構えたまま、ハーブは警戒を解かない。


玲華が駆け寄る。


「大丈夫!?」


「ああ、問題ない」


「ハーブさん……」


雪奈も心配そうに近づく。


ミラは腕を組みながら、戦いの跡を見つめた。


「……今の敵、黒鋼会とは別の組織かもしれないわね」


「何……?」


ハーブが目を細める。


ミラは続ける。


「もし黒鋼会だけが敵なら、こんなに複雑な戦術は使わない。少なくとも、狙撃手と連携する暗殺者なんて、彼らのスタイルじゃないわ」


「……なら、新たな勢力が動き出したということか」


ハーブは空を見上げた。


(俺を狙う者が、また増えた……)


不穏な空気を感じながら——彼は新たな脅威に備える決意を固めるのだった。


次回予告


新たな敵の正体とは?


そして、ハーブを狙う本当の目的とは——?


次回、第39話「新たなる影」


物語は、新たな局面へと突入する——!

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