第35話 迫りくる脅威
揺れる雪奈の心
玲華とミラの「ハーブ争奪戦」が続く中、雪奈は静かに悩んでいた。
玲華のように積極的にぶつかることも、ミラのように大胆に好意を示すこともできない。
(……私も、ハーブさんのこと……)
認めるのが怖かった。
もし彼に想いを伝えても、玲華やミラのようにはなれない。
それでも——
(私は、私にできることを……)
雪奈は、胸に小さく決意を刻みつけた。
学園に忍び寄る影
その頃、学園の外れにある森の奥で、ひとつの影が蠢いていた。
「……ようやく見つけた」
低く冷たい声。
男はゆっくりと学園を見上げ、邪悪な笑みを浮かべる。
「ハーブ……貴様の首をいただく」
日常の中の違和感
その翌日——
ハーブたちは、特に変わったこともなく学園生活を送っていた。
「ハーブ、お弁当作ってきたわ! 一緒に食べましょう!」
玲華が得意げに弁当箱を差し出す。
「ねぇ、今日は私とランチしない?」
ミラも当然のようにハーブの腕を取る。
「あの……もしよかったら、私も……」
雪奈は小さな声で申し出るが——
「待ちなさいよ、ミラ! あんた、毎回ハーブを独占しようとしてない!?」
「ふふっ、玲華だって同じことしてるじゃない?」
玲華とミラが言い合いを始めると、雪奈は少し困ったように微笑む。
(……でも、こんな時間も悪くはないのかもしれない)
しかし、その平穏な時間は長くは続かなかった。
襲撃者、現る
放課後——
ハーブたちが校門を出ようとしたその瞬間、突如として空気が張り詰めた。
「——っ!」
ハーブは瞬時に剣を構える。
「どうしたの?」
玲華が驚いたように振り向くと、次の瞬間——
ズンッ……!
強烈な殺気が周囲を包み込んだ。
「な……に、これ……?」
雪奈の顔が青ざめる。
そして、影が姿を現した。
「久しぶりだな、ハーブ」
現れたのは、全身を黒い装束で包んだ男。
鋭い目つきと、邪悪な気配が漂っている。
「……誰だ?」
ハーブは剣を構えたまま、冷静に問いかける。
「ふん、覚えていないのか? まぁいい……俺の目的はただひとつ——貴様を消すことだ」
男がゆっくりと手をかざす。
次の瞬間——
「——!?」
周囲の空間が歪み、黒い雷が弾けた。
「なっ……!?」
玲華と雪奈が驚いて後ずさる。
「こいつ、ただの刺客じゃない……!」
ミラが険しい表情を浮かべた。
「さぁ、楽しもうじゃないか、ハーブ!」
男の黒い剣が、ハーブを襲う——!
次回予告
突如現れた刺客の正体とは?
ハーブは学園を守るため、玲華たちと共に戦う!
そして、雪奈の秘められた力がついに目覚める——!?
次回、第36話「雪奈の覚醒」
戦場に、優しき光が差し込む——!
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