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第32話 試される絆

対決の時


「私に勝てたら、ハーブを好きにしていいわ」


ミラの言葉に、玲華と雪奈は怒りを滲ませながら睨みつけた。


「……言ってくれるじゃない」


玲華は拳を握りしめ、静かな怒りを滲ませる。


「ハーブさんは“物”じゃありません。……そんな言い方、許せません」


雪奈もまた、珍しく強い意志を込めてミラを見つめる。


だが、ミラは余裕の笑みを崩さない。


「ふふっ、その反応、嫌いじゃないわ。でも、私の本気を見たら、あなたたちの自信なんて簡単に崩れ去るわよ?」


「やってみなさいよ」


玲華が一歩前に出た。


「……私たちが、ハーブを守る」


雪奈も、意を決したように玲華の隣に並ぶ。


ハーブはそんな二人を見ながら、複雑な心境を抱えていた。


(……これは、ただの決闘じゃない。三人の想いがぶつかる戦いだ)


彼は静かに息を整え、剣を手にした。


「いいだろう。ここで決着をつける」


ミラは満足そうに微笑むと、優雅な仕草で剣を抜いた。


「じゃあ——始めましょう?」


玲華 vs. ミラ


最初に動いたのは玲華だった。


「はあっ!」


一気に距離を詰め、鋭い蹴りを繰り出す。


しかし——


「遅いわ」


ミラは軽く身を翻し、玲華の蹴りを避けた。


玲華はすぐさま拳を繰り出すが、それもミラにかわされる。


「くっ……!」


玲華は焦りを滲ませながら、さらに攻撃を仕掛けた。


だが、ミラはまるで踊るように軽やかに身をかわし、余裕の表情を浮かべていた。


「あなた、戦いはそこそこできるみたいだけど……まだ甘いわね」


「何よ、それ……!」


玲華は再び拳を繰り出すが——


バシッ!


ミラは片手でその拳を受け止めた。


「っ!?」


玲華の目が見開かれる。


「力任せな攻撃は、隙が多すぎるわよ」


次の瞬間、ミラの膝蹴りが玲華の腹に叩き込まれた。


「ぐっ……!」


玲華の身体が後方へと吹き飛ばされる。


「玲華さん!」


雪奈が叫ぶが、玲華はすぐに立ち上がった。


「まだまだ……これくらいで……!」


だが、ミラは涼しい顔をしたまま、剣を構えた。


「じゃあ、次はこれを避けてみて?」


ミラの剣が一閃する。


玲華は咄嗟にかわそうとするが——


「——っ!」


紙一重で頬をかすめた。


ミラの剣圧に玲華は息をのむ。


「……本当に、強い」


だが、それでも彼女は諦めない。


「私だって、負けるわけにはいかないのよ!」


玲華は気合を込めて再び突進する——。


雪奈の決意


戦いを見守る雪奈の胸の内には、ある感情が渦巻いていた。


(……私は、何もできない)


玲華は戦える。ハーブも当然、強い。

しかし、自分には戦う力がない。


「……ハーブさん……」


雪奈の視線の先で、玲華とミラの戦いが激しさを増していく。


——自分にできることは、何かないのだろうか。


その時、ミラの剣が玲華の喉元にピタリと止まる。


「はい、終了」


ミラは余裕の笑みを浮かべながら、玲華に告げた。


「くっ……!」


玲華は唇を噛みしめる。


「あなたたちは、まだ私には届かない」


雪奈の手が、ぎゅっとスカートを握りしめられた。


——このままではいけない。


(……私も、戦えたら……)


雪奈の心に、小さな炎が灯る。


その時——


「待て、まだ終わりじゃない」


ハーブが、ミラの前に立った。


「……あなたもやるつもり?」


ミラは微笑む。


「玲華と雪奈の努力を無駄にするわけにはいかない」


ハーブの瞳には、決意の光が宿っていた。


「お前が俺の過去を知っているなら、俺もそれを取り戻す」


「……そう。それなら……」


ミラは剣を構える。


「あなたの覚醒を、私が促してあげるわ」


次回予告


ミラとの激戦が続く中、ハーブはついに自らの記憶の扉を開く——。


彼の“本当の力”とは?


そして、玲華と雪奈の想いは報われるのか?


次回、第33話「目覚めし者」


ハーブの真実が、ついに明かされる——。

読んでくださりありがとうございます!


更新頻度ですがなるべく毎日11時頃と22時頃の2話投稿を目指します!


感想など書いていただくと今後の励みになるのでどんどんコメントしてください!

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