第3話 不良たちの挑発と雪奈の心配
クラスでの新たな関係
白陽高校に転入して数日が経過したハーブは、現代の高校生活に少しずつ慣れてきていた。彼の言動や振る舞いはどこか独特で、クラスメイトたちの間では「謎めいた転校生」として話題になっていた。
その中で、特に彼に積極的に話しかけてくれるのが隣の席の雪奈だった。雪奈は控えめな性格で、普段あまり目立つタイプではなかったが、ハーブにだけは親切に接していた。
「ハーブさん、今日の授業はどうでしたか?」
昼休み、雪奈が弁当を広げながら控えめに尋ねる。
「……興味深い内容だが、まだ理解には時間がかかる。」
ハーブは落ち着いた声で答えた。
「そうですよね。もしよければ、私でよければ手伝いますよ。」
雪奈の提案に、ハーブは少しだけ考えてから頷いた。
「助かる。君のような存在は、私にとって貴重だ。」
その言葉に、雪奈は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに微笑んだ。
「ふふ、貴重だなんて……そんな大したことじゃないです。」
放課後の不良たち
その日の放課後、ハーブが校門を出たところで、不良グループに呼び止められる。リーダー格の三田村が腕を組み、ニヤリと笑いながら近づいてきた。
「おい、新入り。ちょっと話があるんだけどよ。」
ハーブは彼らを見据え、冷静な口調で返す。
「話ならば手短にしてくれ。無駄な時間は使いたくない。」
その落ち着いた態度が三田村の癇に障ったのか、彼は鼻で笑いながら言った。
「随分偉そうじゃねえか。転校生のくせに調子乗ってんじゃねえぞ。」
「調子に乗っているのはどちらだ?」
ハーブの一言に、三田村の表情が引き締まる。周囲の不良たちも、そのただならぬ雰囲気に一瞬たじろぐが、三田村はすぐに態勢を立て直す。
「……いいぜ。今はここまでにしといてやる。ただし、覚えておけよ。俺たちに逆らうとどうなるかってな。」
三田村たちはそう捨て台詞を残して去っていった。ハーブは彼らの姿が見えなくなるまで静かに見送る。
「……小物か。」
そう一言だけ呟くと、彼は校門を出て歩き出した。
雪奈との帰り道
その頃、雪奈は校門近くでハーブを待っていた。不良たちに囲まれている姿を見かけたが、どう声をかけていいか分からず、ただ心配そうに見守っていたのだ。
「ハーブさん、大丈夫でしたか?」
ハーブが戻ってくると、雪奈は駆け寄り、不安そうに尋ねた。
「問題ない。彼らに何かされることはないだろう。」
「でも……怖くなかったんですか?」
その問いに、ハーブは一瞬だけ考えた後、淡々と答えた。
「恐怖とは、自分が弱いと認識したときに生まれるものだ。私は、その感情を知る必要がない。」
雪奈はその言葉に圧倒されながらも、どこか安心するような気持ちになった。
「それでも……あの人たちはしつこいかもしれません。気を付けてくださいね。」
「心配は無用だが、忠告には感謝する。」
ハーブは軽く頭を下げ、雪奈と並んで歩き出した。その背中を見て、雪奈は何かを言いたそうにしたが、結局そのまま口を閉じた。
不良たちの策謀
一方その頃、三田村たちは近くの公園に集まり、先ほどの出来事について話し合っていた。
「……あの新入り、何なんだよ。ただ者じゃねえぞ。」
「おいおい、ビビってんじゃねえよ。こんなのプライドが許さねえだろ?」
三田村は悔しそうに拳を握り締める。
「俺たちがこの学校の頂点だってこと、あいつに思い知らせてやる……!」
「どうやって?」
「まずは弱点を探すんだ。あいつ、雪奈と仲が良さそうだったよな……。」
三田村の目に、不気味な光が宿った。
「あいつを引きずり下ろす鍵は、あの女だ。」
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