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第27話 揺らぐ均衡

波乱の幕開け


「ハーブ、久しぶりね。ちゃんと私のこと、覚えてる?」


ミラ・ノクターンが微笑みながら問いかける。


ハーブは黙ったまま、彼女を見つめていた。


(まさか、ここで再会するとはな……)


異世界での過去。


ミラは確かにハーブと関わりがあった。


だが、その関係は単なる友人でも、敵でもなかった。


彼女は——謎多き存在だった。


「ねぇ、どうなの? 私のこと、ちゃんと覚えてる?」


ミラは甘えるような声でハーブの腕に絡みつく。


「……お前がここにいる理由を聞かせてもらおうか」


ハーブは冷静に問いかける。


しかし、ミラはニコッと笑い、玲華と雪奈をちらりと見る。


「その前に、そこの二人……あなたたちは?」


玲華は腕を組み、鋭い視線を向けた。


「玲華よ。ハーブとは……その、いろいろある仲よ」


「わ、私は……雪奈です。ハーブさんとは、その……っ」


雪奈は焦りながらも答えるが、ミラはにこにこと笑ったままだった。


「へぇ〜……そうなのね」


そして——。


ミラの表情が、ほんの一瞬だけ鋭く変わる。


「……邪魔、しないでね?」


玲華と雪奈が息をのむ。


その一言には、明らかな“圧”がこめられていた。


ただの転校生ではない——。それを一瞬で悟る二人。


「ふふっ、冗談よ? これからよろしくね、玲華さん、雪奈さん」


ミラはすぐにいつもの笑顔に戻ると、軽やかに席についた。


だが、玲華と雪奈は釈然としない表情を浮かべていた。


(この子……ただ者じゃない)


玲華の直感が告げていた。


“この女は危険だ”と——。


玲華と雪奈の不安


放課後。


玲華と雪奈は屋上で二人きりになっていた。


「雪奈……あの子、どう思う?」


玲華が静かに尋ねる。


雪奈は少し悩みながら口を開いた。


「……すごく、綺麗な人です。でも……なんだか、怖いです」


「私も同じ意見よ。……どう考えても、普通の転校生じゃないわ」


玲華は眉をひそめた。


「しかも、ハーブと知り合いみたいだし……」


「……ハーブさんと、どんな関係なんでしょう?」


雪奈が不安そうに呟くと、玲華は拳を握りしめた。


「……さっきの態度を見る限り、間違いなく私たちのライバルよ」


「えっ……!?」


雪奈が驚いて玲華を見つめる。


「ミラの態度……どう見てもハーブを狙ってるわ。しかも、私たちを“邪魔者”と見てる」


玲華の予想は、決して間違っていなかった。


「……雪奈。負けるつもりはないわよね?」


玲華が挑むような視線を向ける。


雪奈は一瞬戸惑ったが——。


「……はいっ!」


小さくても、強い意志を持った声で答えた。


「……なら、行動あるのみね」


玲華は満足げに微笑んだ。


ミラの裏の顔


その夜。


ミラは学園の裏庭で、一人の影と対峙していた。


「……報告を」


低い声が響く。


ミラはゆっくりと微笑んだ。


「問題ないわ。ハーブとの接触は成功したし、あの二人のヒロインも確認したわ」


「……そうか。ならば、次の計画を進める」


影の男が静かに告げる。


「ハーブ・グレイヴの力を測れ。必要ならば、彼を味方に引き込め」


「ふふっ……それができれば苦労しないわ」


ミラは楽しそうに笑った。


そして、月明かりの下——。


彼女の瞳が、冷たい光を宿す。


「——さて、ハーブ。これからたっぷり楽しみましょう?」


新たな策略が動き出す。


ハーブを巡る戦いは、さらに激化する——。


次回予告


ハーブの知られざる過去が、徐々に明らかに——。


ミラの真の目的とは?


玲華と雪奈の反撃はあるのか?


次回、第28話「囚われし記憶」


物語は、さらに加速する——。

読んでくださりありがとうございます!


更新頻度ですがなるべく毎日11時頃と22時頃の2話投稿を目指します!


感想など書いていただくと今後の励みになるのでどんどんコメントしてください!

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