第21話 刃と刃の交錯
校舎裏——。
闇に紛れた黒鋼会の刺客たちが、ハーブを囲むように立ちはだかった。
「ククッ……学園祭のド真ん中で戦うわけにもいかねえしな。お前がここに来るのを待ってたんだよ」
リーダー格の男が不敵な笑みを浮かべる。
「目的は何だ?」
ハーブが冷静に問いかけると、男は嘲るように答えた。
「お前を潰す。それだけだ」
「……なるほど」
ハーブは静かに剣を構えた。
玲華も拳を握りしめ、一歩前に出る。
「つまり、ここでお前たちを叩きのめせば、学園祭を邪魔する奴はいなくなるってことね」
「ほう? お嬢ちゃん、なかなか気が強いな」
刺客の一人がニヤリと笑う。
「そっちのメイド服の嬢ちゃんも戦うのか?」
男の視線が雪奈へと向く。
「っ……!」
雪奈は緊張した表情を浮かべたが、それでも逃げようとはしなかった。
「……私は戦えません。でも、ハーブさんや玲華さんの邪魔はしません」
「フン、せいぜい見物してな」
男たちは一斉に構えを取る。
ハーブは静かに息を整え——そして、戦いの幕が上がった。
圧倒的な力の差
最初に動いたのは、刺客の一人だった。
「うおおおおっ!!」
鋭い拳がハーブへと迫る——。
しかし——。
「遅い」
ハーブの剣が閃いた。
ガキィン!!
拳に当たる直前で、ハーブの剣が寸止めされる。
「なっ……!」
男は一瞬、何が起こったのかわからなかった。
「……次はないぞ」
ハーブの冷静な声が響く。
「この野郎……!」
別の男がナイフを抜き、背後から襲いかかる。
だが——。
「見えてる」
ハーブは軽く身を翻し、相手の腕を掴んで勢いを殺した。
ドガァッ!!
強烈な膝蹴りが男の腹にめり込む。
「ぐっ……!!」
男はその場に崩れ落ちた。
「……」
周囲の刺客たちが一瞬ひるむ。
その間に玲華が動いた。
「おらぁっ!」
玲華の蹴りが一人の顔面を捉え、そのまま地面に叩きつける。
「女だからって甘く見ないことね」
玲華が冷たく言い放つと、刺客たちは悔しそうに顔を歪めた。
「ちっ……! てめえら、全員でかかれ!」
リーダー格の男が指示を飛ばす。
ハーブは剣を構え直し、玲華と背中を合わせる。
「……やれるか?」
「当然」
「雪奈、お前は後ろに下がってろ」
「……はい!」
雪奈が頷いた瞬間——。
黒鋼会の刺客たちが、一斉に襲いかかった。
戦いの終焉
「ぐあっ!」
「がはっ……!」
次々と倒れていく黒鋼会の刺客たち。
ハーブと玲華の実力は、彼らを圧倒していた。
「バ、バカな……!」
最後に残ったリーダー格の男が、息を荒げながら後ずさる。
「……終わりだ」
ハーブが静かに剣を向ける。
「くそっ……!」
男は歯を食いしばり、ナイフを構え直した。
だが——その時だった。
「もういい」
どこからか、静かな声が響いた。
「なっ……?」
ハーブが振り向くと、屋根の上に一人の男が立っていた。
「……時雨」
玲華が険しい表情を浮かべる。
黒鋼会の幹部、時雨。
彼は余裕の笑みを浮かべながら、ゆっくりと降りてきた。
「今回はここまでにしとこうか」
「逃げるのか?」
「戦うのはやぶさかじゃないが……ここで大暴れすると、さすがに学園側にもバレるからな」
時雨は軽く肩をすくめる。
「それに……お前の実力は、十分に見せてもらった」
「……」
ハーブは剣を構えたまま、じっと時雨を見つめた。
「また近いうちに会おう。次は、もう少し本気でやらせてもらうよ」
時雨は不敵な笑みを浮かべると、ふっと姿を消した。
「……逃がしたか」
玲華が小さく舌打ちする。
ハーブは剣を収め、倒れた刺客たちを見下ろした。
「学園祭にまで手を出すとは……黒鋼会も本気になってきたな」
玲華は頷く。
「これは、ただの前哨戦かもしれないわね」
「……そうかもしれん」
ハーブは静かに、夜の空を見上げた。
(この戦いは、まだ終わっていない——)
次回予告
黒鋼会の襲撃を退けたハーブたち。
しかし、これはまだ序章に過ぎなかった——。
次回、第22話 『蠢く影と消えた転校生』
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