第2話 侍の新たな日常
異世界から現代への漂着
ハーブが異世界から現代に飛ばされたのは、剣術修行の最中だった。突如、空が裂けるような轟音と共に光が降り注ぎ、空間そのものが歪み始めた。
「……ただ事ではないな。」
彼は冷静に事態を観察していたが、光が彼を包み込むと同時に意識を失い、次に目を覚ましたときには、見知らぬ神社の境内にいた。
「ここは……どこだ?」
目に入るのは見慣れない木々と、見知らぬ建物。瞬時に状況を把握しようとするが、得られる答えは一つしかなかった。
「次元そのものが異なる……異世界か。」
落ち着きを失わないまま、ハーブはひとまず水や食料を求めて山を下り、人里を目指した。
住まいを得るまで
山を抜けた先には、異世界とは思えないほど発展した現代の街が広がっていた。車やスマートフォンを使う人々、電線やビルの存在――全てがハーブにとって未知のものだった。
「……この世界を理解するには時間がかかりそうだな。」
道を歩いていると、中年女性の三島春江と偶然出会う。彼女は疲れた様子のハーブを見て声をかけた。
「お兄さん、どうしたの?随分と変わった格好してるけど、どこから来たの?」
「少し複雑な事情があってな。……だが、当面の拠点が必要だ。」
その真摯な態度を見た春江は、彼を不審者とは思わず、自分が管理しているアパートの空き部屋を提供することを提案した。
「いいよ、うちのアパートなら空いてるし、そんなに家賃も高くないから安心して。」
「恩に着る。借りさせてもらおう。」
こうして、ハーブは現代社会での住まいを手に入れた。
白陽高校への入学理由
アパートに住み始めたものの、ハーブは現代社会に適応するための知識が必要だと感じていた。その様子を見た春江が提案する。
「この世界のことを知りたいなら、学校に通うのが一番いいんじゃない?近くに白陽高校っていうところがあって、いい学校だし。」
「学校、か……。」
春江が説明する「高校」という仕組みは、ハーブにとって未知の概念だった。しかし、文化や理を学ぶ場であると知り、この世界を理解する第一歩として適していると判断した。
「わかった。この白陽高校とやらに通わせてもらおう。」
春江が手続きを手伝い、「日本の地方から来た転入生」という設定で問題なく入学することが決まった。
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