第12話 決戦!黒鋼会
体育館裏で黒鋼会の待ち伏せに遭ったハーブと玲華。
闇に溶け込むように現れた男たちは、すでに二人を取り囲んでいた。
「気づくのが遅ぇよ」
男たちの一人がニヤリと笑いながら、ナイフを取り出した。
玲華は舌打ちしながら、小声で言う。
「完全に囲まれたわね……。どうする?」
「どうするも何も、戦うしかない」
ハーブは静かに答えながら、目の前の男たちを見据える。
「ははっ、転校生の割に随分と肝が据わってるじゃねえか」
黒鋼会の男たちは、それぞれ鈍い光を放つ金属バットやナイフを手にしていた。
「玲華、後ろは頼む」
ハーブが短く指示を出す。
「了解よ」
玲華はポケットから折りたたみ式のスタンガンを取り出し、戦闘態勢に入る。
——次の瞬間、戦いが始まった。
「やっちまえ!」
黒鋼会の男たちが一斉に襲いかかる。
ハーブの戦闘
最初に飛びかかってきた男のバットを、ハーブは軽やかに避けた。
流れるような動きで腕をつかみ、そのまま関節を極める。
「ぐあっ……!?」
関節技により、男のバットが地面に落ちる。
すかさずハーブはそのバットを拾い、近くの男の膝に叩き込んだ。
「ぐっ……!」
「一人、二人……さて、次は誰だ?」
ハーブは静かに言う。
黒鋼会の男たちが一瞬たじろぐ。
「な、なんだこいつ……!? 強すぎるだろ!」
しかし、怯んだのは一瞬。
すぐに別の男がナイフを振りかざして突っ込んできた。
「無駄だ」
ハーブは半歩下がり、相手の腕を掴むと、力を利用して地面に叩きつける。
「ぐああっ……!」
倒れた男を気絶させると、残りの連中が一斉に襲いかかってきた。
玲華の戦闘
「……舐めないでくれる?」
玲華もまた、冷静に戦っていた。
男たちが襲いかかると、玲華はスタンガンを素早く使い、次々と動きを封じていく。
「ぐっ……! こいつ、女のくせに……!」
「女だからって、舐めるからよ」
玲華は冷徹に言い放つ。
黒鋼会の男たちが倒れていく中、体育館の扉が開いた。
「騒がしいな」
現れたのは、一人の男だった。
黒鋼会幹部・氷室
「ほう、あの玲華お嬢様が、転校生と手を組むとはな」
氷室と名乗る男は、黒いスーツを着た長身の男だった。
無駄のない体格に、冷酷な目つき——まるで戦い慣れした暗殺者のような雰囲気を漂わせていた。
「氷室……」
玲華が低く呟く。
「知ってるのか?」
ハーブが尋ねる。
「ええ。黒鋼会の幹部の一人……実力者よ」
「なるほど」
ハーブは氷室を見据えた。
氷室は静かにポケットからナイフを取り出し、クルクルと回しながら言う。
「お前たちがどれほどやるのか、試してやる」
ハーブ VS 氷室
氷室は、一瞬で間合いを詰めた。
(速い……!)
ハーブは紙一重でナイフの一撃を避ける。
しかし、氷室はすかさず次の攻撃を繰り出してきた。
ハーブはバットで受け止めようとするが、氷室はすでに別の方向へと動いている。
(読みづらい……!)
氷室の動きは、まるで獣のように鋭く、かつ洗練されていた。
ハーブは防戦に回らざるを得なかった。
「ほう……やるな」
氷室がニヤリと笑う。
「だが、遊びはここまでだ」
次の瞬間、氷室の動きが一段と速くなった。
「——くっ!」
ハーブの頬を、鋭いナイフが掠める。
(こいつ……本物だ!)
しかし、ハーブは冷静だった。
「……面白い」
ハーブはバットを地面に叩きつけた。
「やる気になったか?」
「当然だ」
ハーブの気配が変わる。
氷室は目を細めた。
次の瞬間——ハーブが反撃に出る。
バットの柄を逆手に持ち、最小の動きで氷室の腕を弾いた。
「——!」
氷室のナイフがわずかに逸れる。
「しまった……!」
その隙を見逃さず、ハーブはバットの側面を氷室の脇腹に叩き込んだ。
「ぐっ……!」
氷室が一歩後退する。
「……ほう。なかなかやるな」
だが、ハーブは一歩も引かない。
「お前もな」
二人の間に、再び緊張が走る。
玲華 VS 黒鋼会の残党
一方、玲華は残りの黒鋼会の連中と対峙していた。
「お前たち、氷室さんを助けろ!」
「させないわ」
玲華は素早く動き、相手を次々と倒していく。
だが、相手も必死だった。
「くそっ……! しぶとい女だ……!」
男がバットを振りかぶる。
「玲華!」
ハーブが叫んだ。
「わかってる!」
玲華は冷静にバットを避け、スタンガンを相手の首に押し当てた。
「ぎゃああっ!」
電撃により、男が崩れ落ちる。
「ふぅ……」
玲華が息を整えた瞬間、氷室が舌打ちした。
「どうやら、今回はここまでのようだな」
氷室はナイフをしまい、静かに後退する。
「貴様らのことは認めた。次は本気で潰しに来る」
氷室は闇の中へと消えていった。
戦闘終了
「……勝ったの?」
玲華がハーブを見た。
「いや、今回は引かれただけだ。次は本気で来る」
ハーブはバットを肩に担ぎ、静かに言った。
「次こそ、決着をつける」
玲華も頷いた。
黒鋼会との戦いは、まだ終わらない——。
次回、第13話 迫る黒鋼会の刺客
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