第116話 神殺しの剣
”闇”の力
——ドゥゥゥン……!!!
黒い波動が空間を揺るがす。
エクリプスが完全な”概念”へと変貌し、王都の空を覆い尽くすほどの闇が広がっていた。
「……ッ!! 重い……!」
玲華が剣を握りしめる。
この闇は、ただの魔力ではない。
“世界の理”そのものを侵食する力——それがエクリプスの真の力だった。
「くっ……こんなもの……!」
クロウが拳を握り、黒鋼の力を纏うが——
——ズズズズ……
彼の身体が”影”に沈みかける。
「!? 何だ……!?」
「この闇は……私たちの”存在”そのものを飲み込もうとしてる……!!」
雪奈の声が震える。
「ククク……“理”に抗うなど、無駄なことだ」
エクリプスの声が響く。
「世界の運命はすでに決まっている。“闇”が全てを覆い、“無”へと還る……それこそが”真実”だ」
玲華が歯を食いしばる。
「そんなこと……認めない!!」
彼女は剣を構え、エクリプスの中心へと突っ込んだ。
「玲華!! 待て!!」
クロウが叫ぶが——
——シュゥゥゥゥ……
玲華の剣は、“闇”に触れた瞬間、虚無へと溶けた。
「っ……!?」
玲華が驚愕する。
「ククク……“概念”には”物理”は通じぬ」
「……!!」
玲華の身体もまた、少しずつ”闇”へと飲み込まれようとしていた。
「くそっ……玲華!!」
クロウが飛び出す。
しかし——
「ククク……“闇”は止まらぬ」
エクリプスの笑い声と共に、全員の身体が”虚無”へと引きずり込まれていく。
⸻
◆”理”を斬る剣
「関係ない」
その時——
ハーブが静かに前へ出た。
玲華、クロウ、雪奈——誰もが”絶望”に呑まれそうになっている中、
ただ一人、ハーブだけが”平然”とそこに立っていた。
「ククク……“関係ない”だと?」
エクリプスの闇が、ハーブを包み込もうと迫る。
しかし——
——スゥ……
ハーブの剣は、“闇”に飲み込まれることはなかった。
まるで、“闇”そのものを拒絶するかのように。
「……“理すら斬る”と言ったはずだ」
ハーブの目が静かに光る。
「貴様……!!?」
エクリプスが初めて動揺する。
「これは……“理”の剣!!?」
玲華がハッと気づく。
「まさか……ハーブの剣は……“概念”すらも斬れるの……!?」
クロウも息をのむ。
「そんなこと……可能なのか……!?」
「可能かどうかじゃない」
ハーブは剣を構えた。
「俺が、やるだけだ」
その瞬間——
——バシュッ!!!!
ハーブの剣が、一閃。
その刹那——
“闇”が……裂けた。
「がっ……!?」
エクリプスが苦しげな声を上げる。
「バカな……“概念”である私が……“斬られた”……だと……!!?」
ハーブの剣は——“神を殺す剣”だった。
“絶対の闇”を斬る、唯一の剣。
「終わりだ」
ハーブが、静かに剣を振り上げる。
⸻
◆次回予告
ハーブの剣は”闇”を斬り裂いた。
“概念”すらも断つその刃。
ついに、エクリプスへと届く——!!
次回、第117話「神の終焉」
世界の運命が決する——!!
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