第10話 黒鋼会の暗躍
玲華と手を組むことになったハーブだが、黒鋼会が静かに動き出していることを知らなかった。
翌日の学園——。
授業が終わり、ハーブは廊下を歩いていた。
「ハーブさん!」
雪奈が小走りに近づいてくる。
「どうした?」
「その……最近、何か変なことはありませんでしたか?」
雪奈の表情はどこか不安そうだった。
「変なこと?」
「えっと……最近、妙な視線を感じるんです。私だけじゃなくて、玲華さんも……」
(なるほど、監視されているということか)
ハーブは心の中で考えながら、雪奈に穏やかに言った。
「気をつけるに越したことはないな。何かあったらすぐに知らせてくれ」
雪奈は小さく頷いたが、不安は拭えないようだった。
◆
その夜——。
玲華からの連絡で、ハーブは学校の裏にある公園へ向かっていた。
「来たわね」
ベンチに腰かけていた玲華が、こちらを見上げる。
「こんな時間に呼び出して、何の用だ?」
玲華は腕を組み、真剣な表情で言った。
「黒鋼会が動き出しているわ」
「……確証はあるのか?」
「あるわ。私の周りに不審な連中が増えている。それに——」
玲華はポケットから小さな封筒を取り出し、ハーブに差し出した。
「今日、私の下駄箱に入っていたの。開けてみて」
ハーブは封筒を受け取り、中を確認する。
そこには短いメモが入っていた。
『余計なことに首を突っ込むな——黒鋼会』
(随分とストレートな警告だな)
「どうする?」
玲華の目がハーブを試すように見ていた。
「どうするも何も、こんなものに怯むつもりはない」
ハーブは封筒を折り畳み、ポケットに突っ込んだ。
「むしろ、向こうが本格的に動き出すなら、こっちも準備しないとな」
玲華は満足そうに微笑んだ。
「そのつもりで、もう手を打ってあるわ」
「……何をした?」
玲華は軽く顎をしゃくり、暗がりの奥に視線を向ける。
そこには、スーツ姿の男が立っていた。
「彼は私の父の部下。情報収集のプロよ。黒鋼会の動きを探らせているわ」
「なるほど……頼もしいな」
「ええ。でも、それだけじゃない」
玲華の目が鋭くなる。
「私たちも、そろそろ動くべきよ」
ハーブは静かに頷いた。
黒鋼会との対決は、すぐそこまで迫っていた。
次回、第11話「黒鋼会の襲撃」
玲華の策が動き出す。しかし、黒鋼会はすでに先手を打っていた——。
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