リレットの住処を調査する。
この作品を選んで、お読で頂き、ありがとうございます。
この物語はフェイクションです。
物語中の世界観は独自の世界観で書いておりますので、法律、慣習、習慣、常識等に異質な部分が多々ありますが、其れ含めて楽しんで読んで頂きたいと思います。
精霊樹の森から飛び立ち数分で白い噴煙を上げるさほど高くはないけど火山の火口が見えてきて、その火口の中へリレットはゆっくりと降りて行くと途中に大きな洞窟の入口があった。
リレットはその洞窟の入口の中を飛んで中に入ると暫らくして広い空洞があて、その空洞の中にリレットはゆっくりと降り立った。
「リレット、ここが住処なの」
イリヤが魔法で光の玉を頭上に出して浮かべて周辺を照らしてから聞くと、リレットが首を縦に振り頷く。
「ところでイリヤ、まだ金髪のままだけど、そのままで良いの」
リンカがイリヤに確認する。
「あっ、いけない忘れてたわ」
イリヤはリンカの言われて、慌ててステイタス画面を出して聖属性をいつもの様に封印すると、髪の毛が金髪から水色に戻した。
「しかし金髪のままでもいい様な気もするけど、戻さないとやっぱり大聖女と疑われるかしらね」
リンカはイリヤを見て金髪の方が似合って美人なのに勿体ない気がしていた。
「それもあるけど戻さないと氷属性の攻撃魔法の威力が落ちるのよね、だから水色の髪の毛に戻した方が色んな意味で身を守れるわ」
「という事は聖属性の魔法を使う時は金髪で氷属性の魔法を使う時は水色なのね、まさか火属性の魔法を使う時は赤だったりしてね」
レンカが冗談交じりでイリヤに言う。
「本気で火属性魔法を使おうと思ったら、多分そうなると思うわよ、火属性の魔法は生活する上でたまに使う程度だから、強力な魔法を使うにはやはり鍛錬が必要だけど」
「えっ、イリヤは火属性も使えるの、まさか全属性使えちゃったりする」
「そうですね、その気になればね、ただ今まで聖女のお仕事が忙しくて、そんな余裕が無かったから出来なかっただけですよ」
「まぁ、それならこれからは少しでも氷属性以外の属性でも戦える様にした方が良いわよ、魔物の属性によっては氷属性の攻撃が通用しない事もあるわ」
リンカがイリヤにアドバイスをする。
「そうですね、ダンジョンの中なら色んな魔法が使えそうですよね、森の中だとどうしても火属性は使いづらいです。火事にでもなったら大変です。それよりも住処の中を調べましょう」
「そうね、しかし、随分と広いわね、リレット程の巨体の住処だから当たり前なのか」
リンカは空洞に広さに感心する。
「リレット、どの辺から騒音が聞えたか教えてくれる」
「グルル」
リセットは人の背丈くらいの洞穴がある方へ手の指で指す。
「あ~、あそこね、あれじゃ、リレットは入れないものね、リンカさんレンカさん、あそこの洞穴を調べましょうか」
イリヤはリンカとレンカの二人を誘うと、直ぐに洞穴の中へ入る。
イリヤはリンカとレンカと共に洞穴の中に入り奥へと進みながら暫らくすると広い空間がある場所が眼下に広がっていた。
「困ったわ、どうやって下に降りようかしら」
「どうしたの、あぁ、ここで行き止まりなのね、しかしここにも広い空間があったのね、イリヤ、魔法で岩壁を削って階段とか出来ないの」
リンカがイリヤに冗談半分でイリヤに提案してみた。
「う~ん、試してみるわ、ここに居ても調べられないものね」
イリヤはリンカに言われて少し後方へ下がり、壁に手を当てて螺旋階段をイメージして土魔法を使い壁に魔力を注ぐ。
「う~ん、・・・・・・あぁ、出来ちゃったわ、リンカさん、レンカさん降りましょうか」
「流石としか言いようないわね、まさに大聖女に選ばれるだけの事はあるわよね、本当凄いわ」
リンカがイリヤの凄さを再認識する。
「本当ね、凄いとしか言えないわ」
レンカもイリヤの凄さに感心する。
イリヤが先頭で螺旋階段を降りて行くと、その後にリンカとレンカが続いて降りて行き、螺旋階段の出口に出て周辺を見渡すと所々に黒尽くめの男達の死体が10人ほど横たわれていた。
「う~ん、喉元に爪痕があるから魔獣にでもやられたみたい、しかしこの黒い服はたまに噂で聞く邪神教徒の者かしら、あっ、あそこに祭壇みたいのがあるわね」
リンカか一人の遺体の所に行って状態を確認する。
「あの邪神を復活させようとするカルト教団のことでしょう、邪神を復活させる為に色々と暗躍していると噂されてる。じゃ、あの精霊樹を斬り倒したのはこいつらなのかしら」
「あのご主人様、精霊樹の守護獣様の気配があちらの岩陰にあります。行ってください、かなり弱っているみたいです」
水の妖精ウッティが胸元からひょっこり姿を現してイリヤに伝える。
「聖霊樹の守護獣様がいるのね、分かったわ」
イリヤはウッティの言われた方にある岩陰に向かう。
イリヤが岩陰の裏側に回ると体調が3m近くある白い毛並みの虎が横たわり、その虎の胸元の中に白い子猫程度の子供も横たわっていた。
イリヤは白い虎の傍に寄り見てみると無数の切り傷と青い血が乾いて付着していて、子供の方は寝息を立てていて無傷であった。
「まだ、辛うじて息はしているみたいね、治癒魔法を掛けてみるわ」
イリヤはステイタス画面で聖属性の封印を解き、白い虎の腹部の傍に両膝をついて腹部に両手で触り治癒と回復の魔法を同時に掛ける。
「ふぅ~、これで治癒は終わったけど大丈夫かしら」
「はい、守護獣様、大丈夫ですか」
水の妖精ウッティは守護獣様の顔の傍に飛んで近付き守護獣様に呼びかける。
「ガゥー」
守護獣の白い虎が目を覚ましてひと鳴きして返事をウッティにする。
「そうですか、良かったです。ご主人様様、どうやら聖霊樹とのパスが完全に繋がった様です。これで大丈夫な様です」
「そう、なら良かったわ。あら可愛い子供の方も起きたみたいね、あ~ん、舐めないでくすぐったい」
イリヤは起きた子供がひざ元にすり寄って来たのを抱き寄せると、子供の白い虎に頬を舌で舐められる。
「ガゥ~、ガゥー」
白い虎の守護獣がウッティに向けて鳴く。
「そうですか、イリヤ様、守護獣様がその子を一緒に連れて行ってくれと言ってます。その子は聖霊樹の種を植える使命を持って精霊樹から生み出されたそうです」
「えっ、いいの、それじゃ、名前を付けちゃおうかな、ハクア、うん、ハクアに決めたわ」
「ニャー、ニャー」
「あれ、パスが繋がったみたい、従魔にしちゃったわ」
イリヤが驚いてウッティに言う。
「ガゥー、ガゥー」
守護獣がウッティに鳴く。
「良いじゃないですか、ついでに守護獣様も精霊樹の母たる方に名を付けて欲しいと申してます」
「えっ、私が精霊樹の母なの」
「そうですね、今の精霊樹はご主人様の魔力で復活したのですから、そうなるのでしょうね、だからハクアも親和性が高いのでしょう、ですから聖獣様もご主人様と直に契約する事で精霊樹の守護獣としての能力もアップするそうですよ」
「う~ん、それじゃ、ハクオウにするわ、ハクオウで良いかしら」
「ガォー、ガォー、ガゥー」
守護獣のハクオウが雄叫びを上げてから瞬間移動して消えた。
「ありがとう、子供を頼むそうですよ、守護獣様は精霊樹の傍へ行かれました」
ウッティがイリヤに守護獣様の伝言を伝える。
「そうなの」
イリヤが消えた守護獣の居たところを見つめる。
「イリヤここに居たの、今もう魔獣の鳴き声が、あらなんで可愛い子猫を抱いているの」
リンカがレンカと一緒にイリヤの元へ来て、リンカがイリヤを見付けて言うとハクアを見て驚いて理由を聞く。
「ほんとう、可愛い白い子猫だわ」
レンカもハクアを見て微笑む。
「え~と、ここに精霊樹の守護獣が倒れていてね、治癒してあげたら元気になって精霊樹の元へ瞬間移動しちゃったの、この子も精霊樹から生み出されて・・・・」
イリヤはリンカとレンカにハクアが従魔になった経緯を説明する。
「そうなのね、ハクアの件は良いとして、はぁ~、どうやら精霊樹を斬り倒した犯人はあの連中みたいね、邪神教徒みたいだわ、でも聖セイランス教会にもつながる者が居るみたいね」
「うん、この紙を見て、精霊樹の場所と大聖女の暗殺の指示も記しているけど、聖セイランス教会のマークが入っているの」
リンカとレンカがイリヤに死体を調べて分かった事を話し、レンカが指示を書いた紙をイリヤに手渡す。
「あっ、間違いないわ、聖セイランス教会で手紙などを書く時に使われている物だわ、この文字の癖は神官補佐のディボスの文字に似ている様にも見えるけど・・・、ハッキリと断言はできないわ」
「まぁ、とにかく奴らの死体を処分して戻りましょうか、それと髪の毛の色も戻した方が良いわよ、邪神教徒達に狙われている可能性もあるから」
「うん、今戻すは」
イリヤはステイタス画面で聖属性をもう一度封印して、髪の毛の色を水色に戻して、ウッティもイリヤの体内に戻った。
それからイリヤ達は遺体の傍の地面にイリヤの魔法で大穴を開けて、邪神教徒の遺体を全て放り込んで地面を元の状態に戻してリレットの住処の空洞に戻った。
イリヤ達はそれからリセットの背に乗ってイリヤがハクアを抱いて街の傍の森の入口付近まで飛んで連れて来て貰うと、イリヤがリレットにお礼を言うとリレットは飛び立ち住処に戻った。
イリヤ達は街に戻ると、直ぐにスタンピートで回収した魔物の解体で冒険者達も解体作業の仕事で賑わう冒険者ギルドへ立ち寄り、ハクアを魔獣の虎として従魔登録してからそのまま宿屋に戻る。
お読み頂きありがとうございます。
もし面白いと思い頂けたなら、ブックマーク、いいね、評価をお願い致します。
そうして頂ければ励みになりますので、宜しくお願い致します。