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第98話 ざまぁってやつ?

「ななな、何ということだ……」


 王様は唖然と頭を振っている。

 映像で見ると明らかだ。俺が生み出した惨状は酷いものであったけれど、全ての行為が肯定できるほどに。


「我が息子は勇敢でしょう? 一人で居残るなんて他の誰にできましょうか」


 ガラムの話に王様は頷くだけ。既に王都へと飛び立つ場面となっているけれど、今も俺が発したフレイムの輝きが画面に映り込んでいる。


「リオよ、この場面で残りのフレイムは何回じゃった?」


 ここで俺に話を振る。

 まあ俺の証言も必要なのかもな。別に思い出すまでもないことだし。


「十回くらいかな。そのあと、どうしてもフレイムでは対処しきれなくて、俺は賭けに出たんだ。まだ使ったことがないヒートストームに全てを賭けた……」


「そうじゃの。残数十発程度で残りを殲滅などできやしない。だからこそ、ヒートストームを撃ち放ったと……」


「待て! 他に手がなかったとして、北街道を通行不能にするなど!」


「マルコス大臣、ワシは適切じゃと思うがな? リオが十万という魔物を一層しなければ、王都は壊滅したじゃろう。北街道が通行不能? それが被害とか、どの口でいうておる?」


「いや、しかし……」


 マルコス大臣はどうしても罪を着せたいようだが、生憎と年の功が勝ったみたいだ。

 一つの街道が使えなくなっただけ。人的被害はなかったのだと。


「それともお主は王都の壊滅を望んでおったのか? まさか魔物を誘導して王都を攻めさせたのではないか?」


「ぶぶ、無礼者が! 憶測でものを言うな!」


「それじゃよ、マルコス……。貴様は憶測でものをいう。ワシも真似をしただけじゃ。ワシの憶測を否定してみぃ? お前さんの一連の言動を見ると、魔物が王都に襲来することを望んでいるかのようじゃ。テロリストはお前じゃないかの?」


「王様、私は潔白です! 魔物を操って王都にけしかけるとか!?」


 王陛下に縋るマルコス大臣であったけれど、残念ながら王陛下には届いていない。

 陛下は首を振って、正直な感想を述べるだけであった。


「昨日の時点でおかしいと思うておった。なぜに断罪処分なのか。ワシは素直に王都の被害がなく喜んでおったのに」


「陛下、それは北街道が!?」


「黙れ。貴様は更迭する。実際に来て分かったことがある。リオ・ウェイルは類い希なる青年なのだと。たった一人で死地に残るなど、幾ら褒め称えても足りぬ。それに罰を与えようとしたお前を儂は肯定できんな……」


「そそ、そんなぁ!?」


 あっけない幕切れだった。


 策を講じたかのようなマルコス大臣であったが、実際の映像が残っていては対抗する術はないらしい。初めから難癖であったのは明らかである。


「リオと言ったな? 勇敢なる王国の救世主よ。詫びというわけではないが、褒美を取らせよう。今後とも王国のために働いて欲しい」


「ははは、はい! 喜んで!」


 やったぜ。

 俺は断頭台を回避するだけじゃなく、褒美までいただけるという。ガラムの思惑通りなのかもしれないが、それでも嬉しかった。


「王陛下、一つリオの魔法を見ていただきたい。彼のフレイムはどの上位魔法士とも異なります。才能は至上最高クラス。ワシは原初の魔女ラプスの再来かと考えております」


 ここでガラムは当初予定していた俺の品定めを行うみたいだ。


 もうよくね? 俺は無事に無罪が証明されたんだし。


「それは見てみたいな。場合によってはポストを用意しようじゃないか?」


「陛下、それを先に言っては用意する必要に迫られますぞ?」


 二人の笑い声が木霊する。

 和やかなのはいいけれど、俺は本当にフレイムを披露しなきゃならないみたいだ。かつて俺はフレイムのせいで衛兵に捕らえられた経験があるというのに。


「ガラム、良いのだな?」


「思い切り撃ち放て」


 ま、しょうがない。他でもない義父が息子自慢をしたがるんだからな。


 やってやろうじゃん。王様だろうが兵だろうが平等に驚愕させてやるよ。


 手をかざし、俺はサラマンダーからもらった魔法を撃ち出していた。


「フレイム!!」


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