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第91話 パラディン

「リオ、お主は王都を救った英雄じゃ……」


 ゴクリと息を呑む。

 えっと、俺はそれを誇って良いの? エレナが望んだ英雄と同じか?


「俺が英雄……?」


「当たり前じゃぞ? 少なからず被害が出ておったはず。リオがスタンピードを食い止め、殲滅した。それ以外に事実は存在せぬ」


 咄嗟にエレナの顔を見てしまう。

 俺は英雄なのかと。エレナが期待する英雄になれたのかと。


「リオは格好よかったよ。特に長剣を振り回して、魔物を斬り裂いてたとこ! あれは本当に夢に見た英雄の姿だったわ」


 やったぜ。

 カッコ良いって言われた。夢に見た英雄の姿であるとも。


「マジか! 俺もやるときゃやるんだよ!」


 死を覚悟していたというのに、なんて満足感だ。

 俺はガラムに従って良かったと思う。エレナがようやく俺に振り向いてくれそうなんだから。


「うん、凄かったね。あと白馬に跨がってたら完璧だったわ」


 ちくしょう。まぁだ、ときめきポイントが残ってやがったのか。


 しかし、白馬ね。幾らくらいするんだろ……?


「それでリオ、お前さんは長剣で戦っていたじゃろ? 確か剣術の心得がなかったのではないのか?」


 ああ、それな。

 それなら俺もよく覚えている。俺自身の幸運がもたらせたことだからな。


「剣術なんか習ったことない。でも、魔力節約のために剣を振っていたら、スキルを習得して昇格したんだ」


「ななな、なんじゃと!? スキルを習得しただけでなく昇格!?」


 驚くのはまだ早いって。俺はとんでもないことを経験してんだからさ。


「それだけじゃないぞ? その剣術スキルとジョブが統合したんだ……」


 どうしてかガラムは固まってしまった。

 おい、先ほどの勢いはどうした? もっと驚けよ。俺の偉業に対して。


「詳しく……話して見ろ……」


 声のトーンを落としてガラムが聞いた。

 詳しくも何もそのまんまだけどな。スキルとジョブが統合したってだけ。


「通知があったんだ。スキル剣術(マスター)とジョブの僧侶が統合できるって。統合するかと聞かれたから、統合しただけだぞ?」


「いや、勇者伝説でもないのじゃぞ!? 基本的にジョブは洗礼の儀で授かったまま。使命を持たぬ者のジョブが昇格するはずもないのじゃ!」


 と言われてもな。実際にそう通知があっただけなんだけど。


「マジだって。教会で調べたら分かるんじゃね?」


「信じられんわい。それでバトルプリーストにでも昇格したというのか?」


「ああいや、それじゃない」


 結果的に同じかもしれないけど、俺が昇格したジョブはバトルプリーストなんかじゃない。


「パラディンに昇格したんだ……」


 ガラムは絶句している。

 似たようなものだと思うけど、まるで違うのかね?


 何度も顔を振ったあと、ガラムは小さく告げた。

 俺を困惑させるだけの内容を。


「かつて魔王を討ちし勇者もまた、元はパラディンであったらしい」


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