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第225話 エマの本気

 あたしはヤル気を充填されていました。


 ヤル気といっても、あっちのヤル気じゃないよ?


 あたしは辺境伯家のメイドとなるために、ここを凌いで生き残るしかないの。


「今日ばかりは性女を返上して、まともな聖女をしてみますか」


 大量に用意された魔力ポーション。その数こそが生命線です。


 それが尽きる前にガラム様が強大な一撃を入れて黒竜を追い払う。あたしはセントウォールにて街を守らなくてはなりません。


「最大の大きさでも難しいけど……」


 今まで飛竜の火球を受けた経験はありました。


 だけど、黒竜ほど大きくなかったし、火力も弱いはず。広大な帝国を瞬く間に滅ぼした黒竜が相手では、どれだけ持つのか分かりません。


「やっぱ、一度くらいリオ君に抱かれなきゃねぇ」


 何だか面白くなっていました。


 つまらなかった自分の人生。光を灯したのはレイスであり、輝かせ続けたのはリオ君。


 両取りを画策し始めたあたしは絶対に生き残りたいと願っている。


「絶対に虜にする自信があるのよ……」


 一度でも手を出せばこっちのもの。

 経験はエレナ様に負けていないわ。寧ろかなり優位にあると思う。


「じゃあ、やっぱ防がなきゃね!!」


 迫り来る黒竜が大きな口を開きました。


 それは飛竜でも見た動き。火炎ならぬ黒炎を吐く前兆に違いない。


「セントウォール!!」


 目一杯の魔力を注いだ。すると、巨大な光の壁があたしたちを守る。


 魔法だけでなく物理攻撃まで防ぐ神聖な壁でしたが、展開中は味方の攻撃も通さないので使用には細心の注意が必要でした。


「うぅっ!!」


 黒炎がセントウォールへと直撃する。それは両手で支えていなければ、即座に瓦解するような力でした。


 だけど、確実に防御できている。あたしは第一段階を乗り越えられたのです。


「いけるわ!!」


 透かさず、魔法士隊の攻撃が始まります。

 その間にあたしは魔力ポーションを飲んで、次の機会に備えるだけ。


「きっとリオ君が戻ってくるはず……」


 それまで耐え忍んでやるわ。

 ラズベルはあたしが守る。そして、その功績を彼が認めてくれるの。


 健気にも命を賭してまで、奮闘したあたし。


 疲れ果てた顔をして、リオ君を見つめる。


 既にローブははだけて、あたしの大きな胸が露わになっているはずよ。彼は手を差し出さずにはいられないって算段ね。


「完璧だわ! 少しの隙もない綿密な攻略手順が確立したのよ!」


 もう滅茶苦茶に生きる意欲が湧いてくるわ。


 レイスには悪いけど、あたしはあたしらしく生きる。


 だから、あたしは新しい彼氏を作ることにするね?


 だけど、あたしは約束するから。

 レイスとの幸福。それを延長して、どこまでも続けていくって。


 絶対に幸せになって見せるよ──。


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