表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

210/232

第210話 北へ進むと

 アレスタ山脈にいる俺たち。

 話し合った結果、北を目指して歩くことになった。


 なぜなら、イヴァニスはエルシリア様と話をしたいらしい。今後の対策を立てるために、会う必要があるのだという。


「ワイバーンが死んじゃったから大変ね……」


 俺とエレナは正装のままだ。加えて、エレナに関してはパンツすらない状態。それなのに道なき道を歩いて行かねばならない。


「友好的な魔物がいたらテイムできるかもしれん」


「はぁ? 魔物は魔物よ? テイマーであっても不可能だって」


 これはまだ誰にも話していないことだ。


 俺だってよく分かっていないのだが、俺には魔物言語というスキルがあった。


 エレナは否定するけれど、実際に俺はレインボーホーンラビットと意思疎通を交わしている。


「魔物と会話したことならある。俺は魔物言語というスキルを持っているから。ただし、話しかけられたのは一度だけだし、声が聞こえたときも俺を餌にしか見ていなかった」


 ドラゴンは美味そうとしか言ってなかったから、過度に期待はできない。だけど、会話できる個体であれば、その限りじゃないと思う。


「そうなんだ。ま、背中に乗せてもらえる魔物が現れることを期待しているわ」


 エレナは信じていない感じだ。


 とはいえ、当然の反応だろうな。俺だってレインボーホーンラビットと仲良くなるまで、考えもしていなかったのだし。


 このあと俺たちは山道を延々と歩く。


 マジックバックに食料が山ほど入っていたのは幸運と言えるだろう。食事の心配をすることなく、旅を続けられるのだから。


 何日が経過しただろうか。

 ぶっちゃけ毎日の楽しみは夜だけとなっていた。


 携帯食料は美味しくないし、俺とエレナはイヴァニスの視線を気にすることなく励むだけだったんだ。


「君たちも飽きないねぇ? そんなに楽しい?」


 励むたびにイヴァニスはそんなことをいう。


 楽しいから、やってんだよ。俺たちは生命の神秘を体験してんだって。


「精霊には分からんだろうな。俺たちはこうやって、命を繋いでいく」


 なんか感動的じゃね?

 ただのスケベ行為が正当化された気がするぜ。


 思えば過去の人たちも、こんな弁明でもって励んでいたのだと感じてしまう。


「そうかもね? だけど、君たちが励み過ぎて、仲間になりたいものが寄ってきたみたいだけど?」


 俺たちは現在、原生林の中を突き進んでいる。よって魔物が現れるなどよくあることだ。


 イヴァニスはまたも何かしらの魔物が現れたと口にする。


「ゴフゥ……」


 興奮気味の声を上げたのはオークであった。


 オスしか存在しない種であり、どのようなメスとでも行為に励んでしまう魔物だった。


「一丁前にエレナの裸を見やがったのか……」


 ドレスを脱がせたのは俺だけど、観覧を許可した覚えはねぇよ。


「焼き豚になりやがれ!!」


 フレイム一発で肩が付く。


 もう慣れたものだ。既にフレイムは百発くらい唱えても魔力切れしない。そういう意味では無双状態といえるだろう。


 群れだったようで、俺はこのあともフレイムを撃ち放っている。


 だがしかし、いつもとは違ってオークたちは逃げていくことなく、果敢に挑み続けていた。


「ぐはぁぁっ、良い女の匂いがすると思ったら、オスがいたのか」


 明確に聞こえる声。

 俺は推し量っている。此度も意思疎通できる魔物が現れたのだと。


「お前は誰だ?」


「うは! 言葉を操るとは珍しいな?」


 いや、俺も同じ意見だって。

 オークとはいえ、なかなかの知能だと思うぜ?


「俺様はオークキング。俺様にも女を貸せ! 孕ませてやる!」


 どうやら、こいつは俺に喧嘩を売っているようだ。エレナを貸せとか死罪で確定だな。


「クソ豚野郎が……」


 俺はバスターソードを取り出していた。

 せっかく言葉を操る豚なんだ。殺意は覚えたとして、利用できるかもしいれないと。


「汚ねぇ逸物は切り落とす。調教前に去勢しとかねぇとな」


 言って俺は斬り掛かっていた。


 生意気にも俺より大きくそそり立ったものを切断するために。


 光芒一閃。俺はオークキングのアレを切り落としていた。


「ふおお、俺のアレが!?」


 歩く性欲たるオーク。自慢のアレがなくなったのなら、戦意喪失となるだろう。


「これよりお前が四つん這いとなって、俺たちを運んでくれ」


 ワナワナと震えるオークは今も自慢のイチモツが付いていた場所を眺めている。


「おい、返事をしろ。首も切り落とされてぇのか?」


「めめめ、滅相もございません! 兄貴に耳寄りな情報がございまして……」


 オークキングは態度を翻していた。

 こんなとき意思疎通できるのは助かる。


「実はハーピーの群れを発見しましてね? 兄貴の足にできやすし、加えて楽しむことも可能でさあ」


 ハーピーは上半身が女性の姿をした鳥型の魔物だっけ?


 群れならば運んでもらえそうだけど、交渉可能なんだろうか。


「案内しろ。会話できたのなら、お前は見逃してやる」


「ありがてぇ! 流石は兄貴!」


 兄になった覚えはないけれど、オークキングはへりくだった結果、俺を兄と呼ぶ。


 かといって、反抗的でないのなら、気にする問題でもないことだろう。


 とりま、ハーピーとやらに会いに行くか。


 別に一糸纏わぬ上半身が気になるってわけじゃないぞ?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ