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第199話 次なる使命は

 万雷の拍手が巻き起こる中、俺たちは壇上から去って行く。


 何とか顔見せは良い感じに纏まったかな。


 エレナは俺の意を汲んでくれたし、領民たちも喜んでいる。一つの間違いすらなかったと思えた。


「ご立派です! 若様、エレナ様!」


 舞台袖で待ち構えていたマリスが拍手をくれる。


 やっぱ良い感じだったみたいだ。


 満面の笑顔を見ると、確信を持てる。


「早速だが、俺はアレスタ山脈の様子を見に行きたい。問題があるなら排除すべきだ」


 悠長にしている時間はない。


 それでなくても南部へと向かった黒竜がどこにいるのか分からないのだ。同時に脅威となるくらいなら、先に倒しておかないと。


「勇ましいですな。まあしかし、若様とエレナ様の強さは既に理解しております。いつものワイバーンでよろしいですか?」


「構わん。慣れた空騎が一番だ」


 エレナと二人なら大型の魔物が複数現れたとしても問題なし。既にそれは実証済みだからな。


「リオ、あたしは同行しなくて良いの?」


 ここでエマが意見を口にする。


 彼女の支援は必要だったりするけれど、それはラズベルの街も同じだ。


 まだ小型の魔物を駆除しなければならない。私兵団の支援や治療を彼女に任せようと思う。


「エマは私兵団に同行してくれ。まだ小物が残っている。支援と治療を任せたい」


「そゆこと? ま、エレナ様とイチャイチャしたいだろうし、あたしは私兵団に良い男がいないか探してみる」


「お前は少しくらい聖女らしくしろよ……」


 エマに誘われて断る男がいるとは思えん。


 兵たちには予め釘を刺しておかないとな。


「嫌なら妾にしてよ。子供が生まれたあとで良いからさ」


「ま、考えとくわ……」


 エレナに聞こえないよう返答する。


 独占欲が強いし、エレナは絶対に反対するだろう。考えておくなんてエマに大人しくしてもらう嘘でしかない。


「若様、どうぞこちらへ」


 マリスは仕事が早いな。もう準備できたってのかよ。


 エレナも俺も着替えていないのだけど。


「リオ、ドレスのままで良いかしら?」


「俺もフォーマルだけど、構わんだろ? 剣聖とパラディンに敵う敵がいるはずもねぇし」


「ま、そうよねぇ」


 エレナは満更でもなさそうだ。


 この数日で得られた自信は彼女の心理に多大な変化をもたらせたことだろう。


 それに着飾ったエレナを愛でるのは眼福に違いない。空の上でもハッスルしちゃうかもしれないって。


「それじゃあ、俺たちは行く。あとは頼んだぞ?」


「お任せあれ。本日も穀倉地帯の魔物駆除に全力を尽くします」


 マリスは忠臣だな。

 やはりガラムの人柄なんだと思う。マルコス侯爵には絶対に手に入らない忠義が、彼からは感じられたんだ。


 俺とエレナは手を振って、首都ラズベルをあとにしていく。


 ワイバーンはもう慣れたもの。


 何しろ俺は名人級のスキルを手に入れていたのだから。


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