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第178話 一夜明けて

「あれ……朝……?」


 私は目覚めていました。

 どうしてか布団を被っています。


 酔い潰れて横になったはずなのに。


「これが大人になった朝なのね……」


 まだ薄暗い中でしたけど、仄かに窓の外が明るくなっています。


 この朝は記念すべき一日の始まり。私はこの景色をずっと覚えていよう。


「リオ……?」


 まあそれで私はリオの方を向く。しかし、ベッドには私しかいない。


 あれ?

 リオはどこに……?


「リオ!?」


 私は飛び起きていました。

 何というか、リオはソファで寝ていたのです。


 よく見ると私は昨日のドレスを着たまま。

 ってことは、何もしていないんじゃないの!?


「この童貞……」


 凄く苛っとします。

 私があれだけ誘ってあげたのに、結局日和ってしまったなんて。


 飛び起きた私はソファで眠るリオを怒鳴りつけようかと考えてしまう。


 肩を揺すって起こそうとすると、


「エレナ……好きだよ……」


 寝言が聞こえてくる。


 えっと、その……私も好き……。


 怒りは急激に冷めて、まだ眠るリオを愛おしく感じていたの。


「起きて、リオ……」


 私はドレスを脱ぎながら、リオに声をかける。


 やっぱ、私は彼が好きなの。

 やり方はまるで分からなかったけれど、リオに抱かれたいと思った。


 ドレスを脱ぎ、下着も外している。

 一糸纏わぬ姿になって、私はリオに口づけをした。


「エ、エレナ……?」


 流石に驚いています。


 私の姿に気付いたリオは顔を赤らめて視線を外しますが、私は彼の頬に手を当てて、再びキスを交わす。


「リオ、貴方って本当に優しいのね? 私はあのまま抱かれようとしていたの。だけど、布団を被せて眠らせてくれるなんて。でもさ、本当に童貞って情けないわ」


「すす、すまん。して良いのか分からなかったんだ……」


 謝らなくてもいいわ。


 私も悪かったんだ。

 素直に言葉にしていたら、異なる朝を迎えたことでしょう。


「情けないところも好き。大好きだよ……」


 そう言うとリオは外していた視線を私に向けました。


 凄く恥ずかしいけれど、私はどこも隠すことなく全てを晒している。


「今から愛し合おうよ? 失敗するかもだけど、私はリオの温もりを感じたい」


 もう一度キスをする。

 そして、そのまま彼の膝に私は座るの。


「エレナ、良いのか……?」


「この状況で断られると思う?」


 私たちは一拍おいて笑い合いました。


 全裸なのよ。まるで痴女みたい。

 だけど、もう恥ずかしくなかった。大好きなリオが見ているのだから。


 リオも決心したのか、私を抱き上げてベッドへと進む。


 優しく口づけをしてから、そっとベッドの上に寝かせてくれました。


 まったく優しいな、リオは……。


 私は生涯を貴方に捧げる。天に還る瞬間まで貴方を愛すると誓おう。


 これが私にとって初めての朝。


 何だか普通の経験とは違うかもだけど、私たちは一晩眠ってから愛を確かめ合う。


 色々とビックリすることもあったけれど、全てが良い思い出になったのよ。


 失敗とか関係ないの。ただそこに愛する人がいるだけで良い。


 リオ、愛してる──。


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