第171話 先生を間違ったのかしら?
私は早朝からモニカを呼び出していました。
昼からは修行があったので、できるだけ長時間に亘って話を聞くためです。
「あぁぁ、眠いわ。こんな時間に呼び寄せるとかどういうつもりよぉ?」
「良いじゃない? 成功者の話を聞きたくてね」
モニカは大きな欠伸をしています。
いつも私はもっと早くから作業してるってのに、堕落しすぎじゃない?
「昨日も励んでしまったからね? すっごく眠いわけよ」
「ええ!? モニカってば妊娠してるのに励んでるの!?」
信じられない。流産でもすればどうするつもりかしら? せっかく玉の輿にありつけたってのに、破談になっても知らないわよ?
「バカね? これだから、お子様は困るわ」
何だか苛っとする。
もう帰ってもらおうかしらね?
「女には他にも武器があるのよ。ヤられるだけじゃないの」
割と腹立たしく思っていましたが、どうやら私が聞きたい話題だったみたい。
「教えて! 私は早急に妊娠しなくちゃいけなくなったのよ!」
「ちょい待ち! エレナの相手って、リオって子よね?」
そういえば、モニカとリオは面識があった。
あの頃は男爵家だったけど、今や彼は辺境伯家の一員。モニカが触手を伸ばすかもしれないから、養子縁組については黙っていよう。
「リオは奥手だから私がリードしなきゃ。それでモニカを呼んだってわけ」
「ふふん、お姉さんに任せときな? すっごい技を伝授してやろうじゃん」
「同い年でしょうが……」
妙に年上ぶるモニカですが、私は彼女の知識を授けてもらうことに。
まあ、それはビックリする内容だったのですけれど。
「口とか胸!? 脇の下まで!?」
「使える場所は全て使うのよ。わたしのテクニックがあってこそ、アンソニーはわたしに惚れ込んだのだから」
アンソニーとは侯爵家のご子息みたいね。
どうやらモニカは夜のテクニックによって、アンソニーを虜にしたらしい。
凄くない?
婚約を破棄させてまで迫ってくるなんて、よほどモニカを気に入ったってことよ。しかもモニカは伯爵令嬢でしかないし。
「教えて! 今すぐに必要なの! 虜にしなきゃライバルが強すぎるのよ!」
「まあ、待ちなさいって。リオって子はまぁだ王女殿下に言い寄られてるわけ? 男爵家の五男坊なら飛びつく案件でしょ? バカなんじゃない?」
「バカって何よ? リオは既に辺境伯家の……」
あっ、やば!
リオが成り上がったことは秘密にしようとしていたのに。
モニカに知られては厄介なこと、この上ないっての。
「んん? そういや妙な噂を聞いたわね。ガラム辺境伯様が養子を取っただとか。それってリオ君のことなんだ?」
ジッと見つめられては頷くしかできない。
咄嗟に嘘はつけませんでした。
「ほう、リオ君が辺境伯に? 凄いじゃないの? 南部なら副都のサザンタール公爵家並の権力じゃん。高物件になりすぎて、エレナは焦ってんだ?」
「まあそうね。私はリオが良いの……」
「乙女だなぁ。だから、適当な男と経験しとけば勉強になったのに。奥手なリオ君が相手なら、大惨事確定だよねぇ?」
分かってるわよ。
だから基本的なことくらい聞いておきたいの。
「ねぇ、教えて! どうやればリオは喜んでくれるの?」
侯爵夫人にまで成り上がったモニカです。
きっと彼女なら秘伝の技があるはずなのよ。
頷くモニカに安堵するのですが、彼女は思いも寄らぬ話をするのでした。
「まずは全裸になろっか!」
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