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第159話 次の勇者

『勇者リオ、次は君の出番だ』


 俺は名を呼ばれていた。


 誰が勇者なんだと考えていたけれど、レイスが名指しした勇者は俺だったらしい。


「俺が……勇者?」


 パラディンには昇格したけど、勇者になった覚えはない。しかし、レイスは俺が新しい勇者だという。


『エルシリアが話していた。君こそが本命の勇者なのだと。また俺とは違って君の輝きならば、黒竜に届くだろうと』


「いや、俺はパラディンであって……」


『逃れようとするな。強くあれ。繋ぎの勇者とは異なる力を俺に見せつけろ』


 どうあってもレイスは俺に勇者を押し付けたいらしい。


 俺には何の覚悟もないというのに。


『本物の力を見せてくれ……』


 言って光の玉は薄く消えゆく。


 どうやら時間が来たらしい。水泡が如く、レイスは儚く消えていった。


「レイス!? レイス!!!」


 もう彼が存在した痕跡すらなくなっている。


 周囲にはエマの絶叫が木霊するだけであった。


 重い空気を察知していただろうに、女神エルシリアは言葉を発している。


「リオ、全てはレイスが語ったまま。ワタクシは貴方に期待しております。世界を救うのは貴方。ただし、まだ輝きが足りません。これまで以上に自分を磨きなさい」


 いや、俺は本当に勇者になんのか!? 自分を磨くって何をすれば良い!?


「俺は……黒竜と戦うのか?」


「いずれ戦うことになるでしょう。あの存在を天に還すことができるとすれば、貴方しかおりません」


「待ってくれ! 俺は何をすれば良い!? 俺はどうしたら良いんだ!?」


 頭が混乱して、まともな質問が思い浮かばない。


 けれど、一応は要点を捉えていたのかも。俺が取るべき行動について、返答があったのだから。


「運命のままに。導かれるままに。然るべきとき、勇者となるでしょう」


「いや、俺は何も分かんねぇぞ!? 鍛冶職人を目指しているし、好きな女の子に振り向いて欲しいだけだ!」


「意のままで結構です。もう既にリオは運命に呑み込まれている。ワタクシに指示があるとするならば、それは一つだけ。勇者となった折りに、再びこの地を訪れなさい」


 言って女神エルシリアの姿が淡く消えていく。俺は何一つ消化できていなかったというのに。


 俺たちは二人して呆然とするだけだ。


 レイスの最後を看取ったエマは言うに及ばず、思いもしない使命を与えられた俺は頭が真っ白であって、何も考えられなかった。


「俺が……勇者?」


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