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第156話 その結末を

 エマの目測通り一日を費やして、俺たちはプロメスタ聖王国ホーリブライトへと到着していた。


 だが、予想とは違う。ああいや、ある意味において予想通りだったのかもしれない。


「この惨状はなんだ……?」


 聖都ホーリブライトは荒廃していたんだ。

 見渡す限りに瓦礫の山。象徴である大聖堂すらも崩れ落ち、街は破壊し尽くされていた。


「帝国兵の姿はないよな?」


 完全に破壊された街であったけれど、生存者は存在する。しかし、懸念していた帝国兵の姿が一人も見受けられなかった。


「すみません! これは一体どういうことです? ホーリブライトに何が起きたというのでしょう!?」


 瓦礫の撤去作業をしていた僧兵に声をかけた。


 僧兵は俺たちを不審に思うことなく、ありのままを伝えている。


「破壊された……」


 いや、それは見たら分かるって。俺はその過程がしりたいだけなんだ。


「帝国軍に負けたのか?」


 重ねた問いには首が振られている。

 どうにも腑に落ちない。戦争が起きた末の出来事だと考えていたからだ。


「帝国軍には勝ったんだ……」


「じゃあ、どうして敗戦したかのような惨状なんだ?」


 ここで俺は知らされている。まるで想定外の事態が起きていたことについて。


「黒竜に破壊された」


 俺は息を呑んでいた。


 黒竜は大陸の北端にいると聞いていたんだ。そのせいでスタンピードが起きて、各地が被害を受けた。なのに、その原因である黒竜自身も山脈を飛び出していたなんて。


「ちょっと、帝国軍に勝ったって本当なの!?」


 ここでエマが声を荒らげる。今ここで問題となるものは黒竜であったというのに、彼女の興味は一点に絞られていた。


「帝国軍には勇者がいたでしょ!?」


 やはりエマはレイスのことを愛しているんだ。


 こんなにも動揺する彼女を初めて見る。口では冗談めいたことを話していたとして、その実はずっとレイスが心配だったのだろう。


「勇者は捕らえた。我らは帝国軍の進軍を天恵により知っていたのだ。数々の罠を仕掛け、迎え撃ったまで……」


「相手は勇者なのよ!? そんな簡単に捕らえられるっての!?」


「女神エルシリア様のお告げ通りに動いただけ。勇者は取り囲まれたあと降伏した」


 何てことだろう。アヴァロニア世界を導く女神エルシリアは聖王国側についたらしい。そのおかげで聖王国は進軍に対処し、事なきを得たようだ。


「じゃあ、勇者はどこにいるの!?」


「いや、もういない。全て神託の通りであった……」


 要領を得ない話が続く。

 しかしながら、望むはずもない未来が到来したことを告げられてもいる。


「勇者は死んだ――」


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