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第153話 脱獄の祝い

「今のは何だよ?」


「何って、お礼のキスよ。どうせ身体はもらってくれないし」


「当たり前だろうが……」


 本当に積極的だな。その身持ちの悪さをエレナに少し分けてやって欲しいくらいだ。


 兎にも角にも食事休憩は終わり。再び馬にハイヒールをかけて、俺たちは走り出す。


「関所を超えるとゴズン王国よ。敵対していないと思うけど」


「了解。そこは俺の目的地の一つ。スタンピード被害を確かめなきゃいけない」


「やっぱリオって王国の騎士なの? もしそうなら、あり得ない強さも理解できるわ」


 俺は笑って誤魔化すだけだ。


 エマの予想は全然違ったから。


 むしろ俺は一般人だ。余計な軋轢を回避するために選抜された名もない男に他ならない。


「関所はぶっ飛ばすぞ? 俺は前回、酷い目に遭ったんだ!」


「あたしは初めからフレイムの支持者よ?」


 承知した。エマが反対しないのなら、俺はフレイムを撃ち込んで駆け抜けるだけだ。


 追っ手が来ないうちに関所を突破するっきゃねぇよ。


「フレイム!!」


 だだっ広い荒野に拡がる炎。それは瞬く間に仮設の関所を燃やし尽くした。


 どうせ何の弁明も聞いてもらえない。先制攻撃はお前たちの行動から学んだ結果だぜ。


「じゃあな、共和国!!」


 颯爽と駆けていく。今も炎を上げる関所跡を尻目に。


 それで俺たちは、ようやく安全圏へと入っていたんだ。


「とりあえず、鎧は捨てていこう。余計な問題を抱える必要はない」


 共和国兵の装備品。それを装着したままゴズン王国内を彷徨くなんてトラブルの元になりかねないし。


「また下着姿が見たいのね? 素直になったらどう?」


「ちげぇぇよ!」


 隙があればエロい方向に考えるのは如何なものか。

 まあ俺も見るだけなら見たい気もするけれど。


 俺たちは互いに背を向けて、着替えを始める。

 何度か横目で見るのだが、やっぱエマは凄い。何がとは言わないけど。


「さて、俺の記憶だけど、北に進み続けたらオウルストーン街道ってのがあるはずだ。そこから東に向かっていこう。途中にゴズンの街が幾つかあったはず」


「了解。リオの好きにしていいわ。あたしは従順な性奴隷だからね?」


「自分を卑下すんな。過去は過去だ。それに俺はその過去を知らん。だからエマは聖女。聖なる女だよ」


「あはは、お姉さんはいつでも性女になってあげるわよ?」


「子供扱いすんなって……」


「だって、あたしの下着姿を見てたじゃない?」


 ちくしょう。気付いてたのか。


 いや、俺も後学のためというか、やっぱ興味はあるし。


「いや、ホントにね。あたしは褒められた女じゃないの。ただジョブに恵まれただけ。レイスに助けられて生きてきただけよ」


 自己評価がマジで低いな。

 この話はしない方がいい。古傷に触るような真似は紳士として失格だからな。


「じゃあ、行こうか。新しいエマの旅路だ。帝国の契約から逃れた祝いがしたい。次の街に着いたら奢ってやるよ」


「よし、なら酔い潰れるまで呑もうよ! 言っとくけど、あたしは有り金全て没収されているからね?」


「金なら心配すんな。俺はこう見えて金持ちなんだ」


 直近の目標はこんなものだろう。命を賭けた脱獄が終わったばかりなのだし。


 気楽に旅を続けるのも悪くはないはずだよな?


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