表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

152/232

第152話 えっ……?

 俺とエマはスラム地域を駆け抜け、大通りへと出ていた。


 ここからは馬にも全力で走ってもらう。どう考えても不審な二人乗りが怪しまれないはずはなかったからだ。


「いけぇぇっ!」


 鞭を打ち、馬を加速させる。


 聞いた話ではこのストリートを北に向かうだけで北街門へと到着できるらしい。


「いいわ、リオ! あぁん、すごくいいわ!」


 耳元で何やら囁かれているが、俺は集中をしてエマのからかいを無視する。


 決死の脱出劇が始まろうというのに、エマは遊んでいるような気さえした。


「黙ってろ!」


 驚く民衆たちの間を潜り抜け、俺は突き進む。


 すると、不意に脳裏へ通知があったんだ。


乗馬マスターを習得しました』


 えっと、マジ? こんな場面で習得しちゃうのかよ。


 さりとて、非常に助かる。俺たちが逃げるために、民衆を轢き殺したくなかったし。


「ああん、リオってば乱暴なんだから!」


「てめぇは少しくらい危機感を覚えろっての!」


 北街門が見えてきた。俺は左手に手綱を持ち、右手に槍を構えた。


「門が閉められてる!?」


「リオ、ここはフレイムしかないって!」


 まあ、しょうがないな。


 エマの言う通りだ。見た感じは兵士しかいないようだし、俺はフレイムにてここを突破するしかない。


「フレイム!!」


 手加減不要と撃ち放つ。


 俺のフレイムはクッソ広範囲なんだぜ? 掘っ立て小屋みたいな街門なんぞ燃やし尽くすだけだ。


「いけぇぇえええっ!」


 炎が燃えたぎる中を、馬が突っ込んで行く。

 全開出力だったせいか、街門どころか街壁まで溶けまくっていた。


 狼狽える兵には目もくれず、俺とエマはウィンブルクの街を脱出している。


「リオ、脱出できたわ!」


「逃げ切れるだけ逃げるぞ! 馬にハイヒールをかけてくれ!」


「了解、ハイヒール!」


 やっぱ回復役ってのは重宝するな。


 冒険者ギルドで聞いたままだ。パーティーを募ったなら、引く手数多であると。

 しかもエマは上位ジョブの聖女だからな。大金を積んでも仲間にしたいと思えてしまう。


 ハイヒールをかけ続けて馬を走らせた結果、俺たちは遂にダリア共和国の国境付近にまで到着していた。


「ちと、休憩するか。どうせ関所では戦闘が待っているだろうし」


「本当に夢みたいよ。こんなに上手く脱獄できるなんて」


 馬に乗ったまま、俺たちは携帯食料を口にする。追っ手がやって来たのなら、直ぐさま走り出せるように。


「リオ、貴方に出会えて良かった」


 ふとエマがそんなことを言う。


 しおらしい表情をして彼女は俺を見ていた。

 

(エマもまた死を覚悟していたのかもな)


 俺がそんな風に解釈していると、彼女は思いがけない行動にでるのだった。


 近付くエマの顔。対する俺は戸惑うだけ。


 エマは俺の頬にキスしていたんだ。


本作はネット小説大賞に応募中です!

気に入ってもらえましたら、ブックマークと★評価いただけますと嬉しいです!

どうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ