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第150話 無双

「俺が全てを斬り裂いてやるよ……」


 明らかに大口であったけれど、それは確信があることだった。


 負ける気がしない。身体の芯から自信が漲っていたのだから。


「はいはい、か弱い聖女は手を引かれてついていきます」


 えらく従順になったじゃないか?


 きっと振り回すことになるけれど、しっかりとついてこい。それだけで安全は保証させてもらうぜ。


「いくぞ?」


 階段を昇りきると、そこには鉄扉があった。恐らく施錠されているだろうが、溶かしてしまえば問題はない。


「フレイム!」


 俺は炉に火をくべるように、加減をして魔法を撃ち込んでいる。


 さあ、戦闘開始の合図だぜ。溶け落ちた扉を抜け、俺はエマを引っ張っていく。


「いくぜぇえええ!!」


 戸惑う兵に斬りかかっていた。


 流石に鉄扉が溶けてしまえば焦るのも無理はない。俺だったら小便を垂れ流していただろうな。


「逃げるんじゃねぇよ!!」


 やはり俺は戦えている。

 パラディンの能力なのだろうか。近接戦なのに、視野がとても広く感じられた。


 見えるんだよ。視界に収まる敵だけじゃなく、後方で剣を抜く兵の姿まで。


「バレてんだよォォッ!!」


 即座に振り返っては水平に剣を振る。

 ミスリルの長剣は何の抵抗もなく、兵の身体を真っ二つにした。


「クソ……」


 考えないようにしていても、断末魔の声が耳に残ってしまう。

 気にしないよう心を強く持っていたのに、罪悪感に苛まれていた。


「だらああああ!!」


 しかし、俺が斬らねば二人共が死ぬ。その結末だけは明らかなんだ。

 冤罪とはいえ、俺たちは死刑に相当する罰を与えられていたのだから。


 牢獄にいた兵士は意外と少ない。俺は瞬く間に制圧できていた。たった八人の兵ではフレイムを使う必要すらない。


「すごい……」


 エマが唖然と俺を見ていた。ようやく俺の実力を分かってくれたのかもな?


「エマ、こいつらの血を浄化してくれ」


 グズグズしていられない。俺たちはこれからエマが隠したという馬を手に入れなければならなかった。だからこそ、血まみれの兵を綺麗にしておかないと。


「どうして? 御霊が迷わず逝けるように?」


「それもあるが、こいつらの装備を拝借しよう。共和国兵のフリをして馬のところまで行く」


 浄化は俺も習得しているけど、一回しか使ってない。熟練度が足りない俺の浄化では血の跡を消すなんて無理だし。


「意外に頭が良いのね? 童貞なのに」


「童貞は関係ないっての」


 事あるごとに俺をからかうエマ。しかしながら、彼女も理解したらしく、浄化魔法にて兵たちの血を洗い流してくれた。


「俺はこの鎧にするか」


「俺はって、まさか、あたしも着替えるの?」


「当たり前だろうが? 俺一人が兵の格好して、エマは聖女の法衣とか直ぐに見つかっちまうだろ。法衣はマジックバックに入れておいてやるから」


「まあ、そうね……」


 俺の話に渋々とエマは物色を始めている。

 死体を見慣れているのか、何の躊躇いもなさそうだ。


「うん、ピッタリだ……」


 胴体のところで真っ二つにした装備は傷もなく新品同様に見える。これであれば、巡回する衛兵くらいは誤魔化せるだろう。


「ねぇ、リオ?」


 不意に呼びかけられ、俺はエマの方を振り向く。

 どうやら彼女も着替えが終わったらしい。


「ちょ、お前!?」


 いやいやいや、どうしてそうなる? 俺をからかうのはあとにしてくれない?


 俺が困惑したのには、もちろん理由がある。


 なぜならエマは下着姿であったのだ。


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