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第149話 いよいよ始まる

 石造りの階段を駆け上る俺たち。もう最上階は近い。


 エマは攻撃手段がないというので、脱獄は俺次第となる。


「リオ、躊躇しちゃ駄目よ? あたしたちは脱獄するの。現れる兵は全て倒さなきゃいけない」


「分かってる。ここからは剣で戦う」


「駄目よ! フレイムを撃ち放てば余裕で逃げられるわ」


「いや、フレイムはヤバくなるまで撃てない。俺は兵士しか倒したくねぇよ」


 日和った童貞だと笑うがいいさ。


 だけど、俺にだって信念がある。人を殺めるというのであれば、それは敵である必要があった。


「敵国なのよ? 甘ったれたこと言わないで」


「だったら、俺たちはここまでだ。好きにしろ」


 短い付き合いだったが仕方ない。


 彼女は自身を悪党だと言った。しかし、俺には守りたい生き方がある。最低限ではあったけれど、線引きをしておきたいんだ。


「ああ、分かった! 降参よ、降参! リオに見捨てられたら、今度こそ絶対に性奴隷だわ。あたし一人じゃ逃げられないって!」


「だったら、最初から俺の言う通りにしろ。それしか俺は手を貸さねぇからな?」


「真面目すぎるよぉ……」


 ブツクサ言いながらも、エマは同意してくれた。


 ならばと、俺はマジックバックから、陛下が用意してくれたという剣を取り出している。


 初めて見る長剣。この重く澄んだ銀色はミスリルに違いない。


 名のある工房が鍛造した逸品だと俺にも分かる。まさに魂が籠もった一振りだと直感できたんだ。


「エマ、悪いけど、俺は無双すんわ……」


「はぁ? やっぱフレイムで突破するの?」


 エマは誤解している。

 俺はこの長剣を手にしただけで未来が分かったんだ。


 負けるはずがないと。


 軽く強靭な刃を持つこの剣は触れるもの全てを斬り裂いてしまうはず。何人たりとも俺の前に立っていられないってな。


「まあ、見とけって。こんなに自信がある戦闘は初めてなんだ」


 俺は今まで勝利を確信する敵と戦った覚えがない。常に何らかの不安を感じていたんだ。


 だけど、今回に限っては何の心配もなかった。どれだけ衛兵がいるのかすら分からなかったけれど、百人いようと千人いようと俺は勝てる気がしたんだ。


「任せる。リオについていくだけだわ」


 俺は頷いたあと、エマの手を取った。

 たぶん、俺は想像よりも戦える。そんな気がしたから、彼女が遅れないようにと。


「リオ?」


「俺に任せろ。手を繋いでおけば、はぐれることはない」


「いやでも、剣で戦うのでしょ?」


 どうやら俺の自信に、エマは気付いていないようだ。出会って間もない俺たちが理解し合うのは難しいのかも。


 ま、でも戦いが始まれば、きっとエマにも分かるだろう。従って、俺は彼女の気が休まるように返事をするしかない。


「俺が全てを斬り裂いてやるよ――」


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