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第143話 降臨

 プロメスタ聖王国の首都ホーリブライト。


 黒竜を退治する旨の親書を手渡した帝国軍はまんまと聖王国へと入国できていた。


 しかしながら、行軍は首都ホーリブライトにて牙を剥く。聖王がいる聖神殿へと向かって総攻撃を仕掛けたのだ。


 一気呵成に攻め立てた帝国軍であったけれど、プロメスタ聖王国軍は予想以上の抵抗を見せている。兵力は確実に帝国が上回っていたものの、僧兵たちの練度は高く、尚且つ神聖魔法による攻撃も凄まじいものがあったからだ。


 勇者レイスは先陣を切って戦っていたけれど、徐々に失われていく兵力に孤立を強いられている。


 戦闘開始から六時間が過ぎた頃には敗走兵の数が増え、完全に孤立状態となっていた。


「ここまでか……」


 ある程度は死の予感があった。

 もう三年も絶対契約を続けている。流石に贄の用意が難しくなってきたのだと思う。だからこそ、無茶な進軍を強いられたはずだと。


「もう……疲れた……」


 あわよくば勝利を皇帝は願っていたはずだが、既に勝敗は決している。


 固い守りに阻まれては二倍以上の兵力が必要だからだ。勇者とはいえ、いつまでも魔力と体力が持つはずはないし、持久戦になれば敗戦は決定的である。


 僧兵に取り囲まれたレイスは静かに両手を挙げた。思わぬ話を聞いて戦意を削がれたからだ。


加えて、抵抗したとして意味はない。もう周囲には一人の帝国兵もいなかったのだから。



 ◇ ◇ ◇



 レイスは聖堂の地下にある牢へと連れられていた。

 もう何もする気がおきない。食事として出されたパンとスープも手つかずのままだ。


「僧兵が話すように、エマが生き残ってくれたなら、それで本望だな……」


 この生の終わりをレイスは感じている。


 しかし、充分だった。僧兵がエマに会わせてやると話していたのだ。最後に彼女と会えるのなら、もう思い残すことなどない。


 先陣を切って戦った自分が許されるはずがないのだ。多くの僧兵を斬った自分は斬首刑にされたあと、市中に生首が晒されるだけだと。


「んん……?」


 不意に地面が激しく揺れた。間違いなく地下へと連れて来られたはずなのに、これほどまでに揺れるなんて異常なことだ。


 既に戦争は帝国の敗戦で決定している。だというのに、これほどまでの攻撃が起きるだなんて考えられなかった。


「えっ……?」


 ふと牢獄内に煌めきが起きた。

 降り注ぐ光の粒。幻想的なそれは、よもや帝国の攻撃ではないはずだ。


 しばらくして、牢獄に美しい女性が姿を現している。


 また彼女は自らを女神だと言った。


「ワタクシは光の女神エルシリア――」


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