第136話 旅立ち
俺は北街道の消火活動をようやく終えていた。
早朝に王都セントリーフを経ったというのに、もう日が沈みそうだ。あと少しと考えていたけれど、実際に消火してみるとかなりの時間を要してしまった。
「今からじゃ王国を出ることも難しいな……」
だけど、できる限り北上しておこうと思う。ダリア共和国は厳戒態勢だと聞くし、入国するのに足止めをくらう可能性だってあるのだから。
「絶対に疑われないようにしないと……」
めちゃくちゃ不安なのが、神職者であると嘘を付くこと。
言っちゃ何だけど、俺は嘘を付くのが苦手だ。他者曰く、分かりやすく表情に出てしまうらしい。
「捕まってしまえば王国は疑われ、もう誰も国境を通過できなくなる。俺にかかっているんだ」
改めて責任を感じていた。
成り上がる目的はあったけれど、やはり俺だけの問題じゃない。この計画が成功するのと失敗するのでは雲泥の差がある。
何とか巡礼者を演じなければと俺は心に念じるのだった。
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