第132話 最後の要求
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「俺の人生にはエレナが必要なんだ」
私は声を失っていました。
ずっとリオは私の胸を見ていたはず。私の身体が目的で近付いてきたはずなのに。
「私のことが好き……?」
思わず、問いを返してしまう。
もしも、リオが肯定してくれたのなら、私たちは両想いだ。
結婚に際して問題となるのは私の身分が低すぎることだけになる。
「何度も言わせんなよ。俺はエレナと一緒にいたいだけなんだ」
「いやでも、私は侯爵令嬢でもお姫様でもないわ!?」
家督を継ぐ資格すらない。私に差し出せるものは身体だけなのに……。
「俺は男爵家の五男坊だったんだぞ? そんなの気にしない。もしも俺が無事に戻ったら、婚約してくれないか?」
いきなりすぎるよ。私はまだ心の準備ができてないのに。
凄く嬉しいけど、それは私を困らせる話なの。
「リオ、私は生まれて初めて努力してるの。鍛冶職人として、リオが満足いく剣を作りたいのよ。だけど、リオが帰るまでに完成させるなんて難しい。私はまだ学び始めたばかりだから……」
嫌いじゃない。むしろ好き。大好きだと思う。
でも、リオの気持ちを受け入れたら、私は駄目な令嬢のままだわ。
途中で投げ出すなんて、絶対に許されない。ドルース師匠様にも悪いし、何より私が自分を許せないのよ。
「返事は待ってくれないかな?」
嫌われないかしらと考えてしまう。
私より高物件な女性から好意を寄せられているんだもの。私が待たせるなんて、虫の良い話かもしれない。
「だけどさ、私って前向きなのよ! 凄く嬉しかったから! ただ、今はタイミングが悪いっていうか。リオの隣に立つ自信を私は手に入れたい。せめて師匠様が納得する剣ができるまで、返事はできないの」
集中をして修行したい。それはリオのためでもある。
私がくだらない令嬢のままでいるかどうか。隣に立つ私が嘲笑されるような人間では絶対にダメなのよ。
お似合いだと認められるためにも、私は努力を続けるべき。
「俺のこと好きなのか?」
「!?!?」
えっと、今の返しがそれなの!?
私、これでもちゃんと返事をしたはずだけど?
リオはずっと私を見つめたまま。返答しないことには終わらない沈黙があった。
「好きよ……」
これでいい? もう二度と言わないからね?
ちゃんと記憶に留めていてくれるかしら?
「そっか、嬉しいよ。俺は全力で巡礼を終えて、君を迎えに来る」
だから、話を聞いてって。
お付き合いくらいは構わないけれど、婚約はまだ先の話よ。
「私が納得するまで婚約の話はなし。だけど、リオは遊び回っちゃダメよ?」
「分かってる。俺はエレナさえ手に入れば名声も身分も、金ですらいらない」
「$%△※&☆#!?」
どうやら私は本当に愛されていたらしい。
やや冗談気味に返しただけなのに、真面目に返答されていたのだから。
「よよよ、よろしい! 私の要求はあと一つよ!」
「まだあるのか……?」
呆れたような顔をするリオだけど、私は最後の要求をぶつけている。
リオと私が迎えるハッピーエンドに必要不可欠な要素を。
英雄になってね――と。
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