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132/232

第132話 最後の要求

注目度ランキング12位まで浮上しております!

応援してくれている読者の皆様、感謝申し上げます。

ありがとーー!(>_<)/

「俺の人生にはエレナが必要なんだ」


 私は声を失っていました。


 ずっとリオは私の胸を見ていたはず。私の身体が目的で近付いてきたはずなのに。


「私のことが好き……?」


 思わず、問いを返してしまう。

 もしも、リオが肯定してくれたのなら、私たちは両想いだ。


 結婚に際して問題となるのは私の身分が低すぎることだけになる。


「何度も言わせんなよ。俺はエレナと一緒にいたいだけなんだ」


「いやでも、私は侯爵令嬢でもお姫様でもないわ!?」


 家督を継ぐ資格すらない。私に差し出せるものは身体だけなのに……。


「俺は男爵家の五男坊だったんだぞ? そんなの気にしない。もしも俺が無事に戻ったら、婚約してくれないか?」


 いきなりすぎるよ。私はまだ心の準備ができてないのに。


 凄く嬉しいけど、それは私を困らせる話なの。


「リオ、私は生まれて初めて努力してるの。鍛冶職人として、リオが満足いく剣を作りたいのよ。だけど、リオが帰るまでに完成させるなんて難しい。私はまだ学び始めたばかりだから……」


 嫌いじゃない。むしろ好き。大好きだと思う。


 でも、リオの気持ちを受け入れたら、私は駄目な令嬢のままだわ。


 途中で投げ出すなんて、絶対に許されない。ドルース師匠様にも悪いし、何より私が自分を許せないのよ。


「返事は待ってくれないかな?」


 嫌われないかしらと考えてしまう。


 私より高物件な女性から好意を寄せられているんだもの。私が待たせるなんて、虫の良い話かもしれない。


「だけどさ、私って前向きなのよ! 凄く嬉しかったから! ただ、今はタイミングが悪いっていうか。リオの隣に立つ自信を私は手に入れたい。せめて師匠様が納得する剣ができるまで、返事はできないの」


 集中をして修行したい。それはリオのためでもある。


 私がくだらない令嬢のままでいるかどうか。隣に立つ私が嘲笑されるような人間では絶対にダメなのよ。


 お似合いだと認められるためにも、私は努力を続けるべき。


「俺のこと好きなのか?」


「!?!?」


 えっと、今の返しがそれなの!?

 私、これでもちゃんと返事をしたはずだけど?


 リオはずっと私を見つめたまま。返答しないことには終わらない沈黙があった。


「好きよ……」


 これでいい? もう二度と言わないからね?

 ちゃんと記憶に留めていてくれるかしら?


「そっか、嬉しいよ。俺は全力で巡礼を終えて、君を迎えに来る」


 だから、話を聞いてって。

 お付き合いくらいは構わないけれど、婚約はまだ先の話よ。


「私が納得するまで婚約の話はなし。だけど、リオは遊び回っちゃダメよ?」


「分かってる。俺はエレナさえ手に入れば名声も身分も、金ですらいらない」


「$%△※&☆#!?」


 どうやら私は本当に愛されていたらしい。

 やや冗談気味に返しただけなのに、真面目に返答されていたのだから。


「よよよ、よろしい! 私の要求はあと一つよ!」


「まだあるのか……?」


 呆れたような顔をするリオだけど、私は最後の要求をぶつけている。


 リオと私が迎えるハッピーエンドに必要不可欠な要素を。


 英雄になってね――と。


本作はネット小説大賞に応募中です!

気に入ってもらえましたら、ブックマークと★評価いただけますと嬉しいです!

どうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m

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