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第122話 才能

 俺は懸命に消火活動をしていた。

 どれだけ時間が経過しただろうか、祠からエレナが現れている。


「おうエレナ! どうだった?」


「ああうん……」


 何だか浮かない表情だな?

 ひょっとして、あの火トカゲが約束を破りやがったのか?


「ちょっと待ってろ。サラマンダーに文句を言ってくる!」


「待って! 魔法は授かったから! フレイムをいただいたわ」


「なんと、嬢ちゃんもフレイムを授かったじゃと!?」


 俺より先に驚くんじゃない。

 魔法を授かったと聞けば、俺はエレナの手を取って喜びを分かち合うつもりだったのに。


「何でもサラマンダー様はフレイム以下の魔法を持っていないのだとか」


「ふむ、やはりそうか。ファイアーなんぞ大精霊が使うはずもないの。だったら嬢ちゃん、ここで試し撃ちしてみなさい。街中で唱えると大変なことになるかもしれんからの」


「ああ、それは大丈夫だと思いますけど。リオのフレイムとは別物らしいですから」


「む? そうなのか。まあでも、使ってみなさい。唱えたあと、直ぐにこのポーションを飲むのじゃぞ?」


 ガラムが仕切っているのには過度な苛立ちを覚えるけれど、確かにエレナは試し撃ちをしておくべきだ。威力がありすぎて炉を破壊してしまえば、何のためにここまで来たのか分からなくなってしまう。


「じゃあ、いきます!」


 エレナは見よう見まねで手を掲げた。


 緊張の一瞬だ。俺たちは固唾を呑んでエレナを見守る。


「フレイム!!」


 エレナが撃ち放ったのは俺も知る真紅の炎だった。


 全員が呆気にとられている。俺たちだけでなく、当人であるエレナであっても。


 まあ、俺たちは身構えすぎていたのかもな。サラマンダーが授けたフレイムに。


「リオのと違いすぎない!? リオのはもっとバアアアンって!」


「嬢ちゃん、それでもかなりの威力じゃぞ? 一般的なフレイムの倍から威力があるわい。リオのフレイムと比べちゃいかん」


「そうですけど……」


 流石にエレナも困惑している様子だ。

 まあでも鍛冶に使うのだから、威力はない方がいい。


「ガラム様、私はフレイムを使いこなせるようになれますか?」


「それは努力次第じゃ。何ならリオが鍛錬した部屋を使ってもよいぞ? それより気分はどうじゃ? まだ撃てそうか?」


 ガラムは問いを続けている。

 そういや俺はフレイム一発で昏倒していたっけ。


「いえ、普通ですけど?」


「ふむ……。やはり剣聖は魔法の素養もあるようじゃな」


「どういうことです?」


 エレナの話にガラムは頷いた。

 一応は大賢者であるガラムはエレナの疑問に対する返答を持っているようだ。


「フレイムは上位の魔法士が唱えるものじゃ。普通なら一発で魔力切れを起こすじゃろう」


 確かに。

 俺は気を失ったせいで、捕らえられて断頭台に送られるところだったんだ。


「とりあえず、頭痛を覚えるまで撃ち続けるのじゃ。限界を知ることは重要。加えて使うことで熟練度が増し、自在に操れるようになるじゃろう」


 たまには良いことを言うな。

 確かに限界が分からなければ、話にならない。計算しつつ戦うことができなくなってしまうのだし。


「分かりました」


 このあと、エレナは何と二十回のフレイムを唱え、ここで魔力ポーションを飲む。


 凄くない? 俺は最初一発しか撃てなかったというのに。


 まあでも、その理由を俺は推し量っている。


 何でもエレナは天才らしいからな。


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