第121話 導く者
「勇者の導き手だ……」
導き手って扇動して誘うってこと?
それよりも勇者って、まさかリオがそうだというつもり?
「リオは勇者なの? 現状でヴァルノス帝国に勇者がいるって聞いたけど……」
「十中八九ね? でもなければ、わたしは彼と会ってない。興味を惹いたから、リオの前に顕現したのよ」
どうやらリオは大精霊の興味を惹いたらしい。彼が持つ使命がそうさせたのかな?
「リオの使命に興味があるの?」
「そうじゃないよ。あの子には二つの尖ったステータスがある。そのステータスにリオの器を感じるんだ」
やはり私たちが見えているものよりも、ずっとサラマンダーはリオを見通していたのかもしれない。
「尖ったってどういうこと? 優れているの? それとも劣っている?」
「器の大きさを感じるんだよ。それらのステータスはレベルに左右されないもの。大きく伸びることがない値だ。魅力値と幸運値。明らかに細工されたと思われる数値だよ」
何となく理解できる。確かにリオは何年も狩られていない魔物を僅かな期間で二匹も狩ったらしいし。
「魅力値ってどうなの? ひょっとして女性にモテまくる?」
思い当たる節が私にはありました。
何しろ、リズ様だけでなく、ソフィア姫殿下にまで婚約を申し込まれたんだもの。リオはその魅力で虜にしてしまったのかもしれない。
「当然でしょ? しかも異性だけじゃない。男性もそうだし、魔物だって惹き付けられてしまう。もっとも魔物には美味しいご馳走に見えてしまうようだけどね」
あ、それは知ってるわ。
ガラム様が仰っていた。リオはどうしてか魔物の暴走を止めてしまった。信じられないことだって。
「だから、君が導いてあげるんだ。勇者には導き手が必ず存在する。その役目を果たして欲しいね」
「何をしたらいいの?」
百歩譲ってサラマンダーが話す通りであれば、私は何をすべきなのか。
「特に考える必要はない。強いて言えばリオの側にいること。それだけで彼は与えられた使命を遂げることだろう」
側にいるだけ? 何だか拍子抜けしちゃうわね?
もっと重大な命令とかないのかしら。
「じゃあさ、私が剣聖のジョブを授かったことも関係しているの?」
「分からないか? 勇者の導き手なんだよ? 間違いなく命の危険に晒されるんだ。生半可なジョブが与えられるはずがないよ」
一貫してサラマンダーは私の使命について語っています。
リオと出会ったことだけでなく、私が授かったジョブでさえ女神様のお考えによるものなのだと。
「まあ、気負わなくて良い。ジョブは君を縛り付けるものじゃないから。君は生きたいように生きたらそれで良いよ。女神エルシリアが顕現しないってことは間違っていないという意味だから。見当外れの行動をしていたら、流石に彼女も口を挟むだろうし」
普段通りで良いのなら安心したわ。
私はこれからも夢を追っても構わない。幼き日に見た理想像に向かって邁進するだけで良いのね。
「長くなったけど、エレナにはフレイムを授けよう。生憎とわたしはこれ以下の魔法を授けられないからね」
「ちょっと待って! それってリオが唱えていた魔法じゃないの? あんなの扱えないわよ?」
「心配いらない。リオにあげたのは加護だからね。同じ魔法でも最高ランクなんだよ。君には普通のフレイムを授けよう。それでも強すぎるかもしれないが、努力すればいいだけだ……」
言ってサラマンダーは薄く淡く消えていきました。
もう何も話すことはないのだといった風に。
祭壇に取り残された私はしばしボウッと考えている。
リオが勇者。女神様に使命を与えられし者。
そして私は彼の導き手であるのだと……。
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