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第118話 ようやくと

「うっ……」


 魔力ポーションを飲ませてから、三十分くらいでしょうか。


 ようやくとリオが目を覚ましています。


「リオ!」


「エレナ……?」


 まだボウッとしている感じですが、一安心でもある。やはり意識が戻らないことには心配してしまいますからね。


「エレナ、飛竜は……?」


「あはは! あんなに凄い魔法を撃ったのに、心配なの? 燃えかすすら残っていないわよ?」


 私だけが目撃したヒートストームという魔法。一帯を炎の海に変えたという魔法は空でさえも焼き尽くしていました。


「そうか。良かった……」


「リオよ、ヒートストームを空に向かって撃ったそうじゃな? 何か覚えておるか?」


「ガラ……父様、いたのかよ? 覚えてるといっても、大したことじゃない。飛竜に向かってヒートストームを撃っただけ。あとは真っ白に視界が染まったあと、気を失ってしまった」


 リオはそんな風に説明しましたが、意識を保っていた私でも同じ台詞しか思い浮かばないわ。目も眩む輝きのあと、飛竜は跡形もなくなっていたのですから。


「そうか。ま、良くやったのじゃ。飛竜に狙われて助かるなど幸運でしかないからの。今後とも空に向かってヒートストームを撃つのじゃ。潜在魔力を増大していけば、リオの生存確率は飛躍的に向上するじゃろうて」


「ガラム様、リオに毎日昏倒しろと仰るのですか!?」


 私には容認できない。

 リオは一発撃っただけで倒れ込んでしまったのよ。頭を打つ可能性もあるし、流石に危険だと思えて。


「ワシが付き添いするのじゃ。昏倒する前に魔力ポーションを飲んでもらう。この方法しかヒートストームを使いこなせる道はない。ひいてはリオが自分の身を守ることでもある」


 それは分かるけれど……。

 きっとリオは努力するでしょう。何事に対しても真摯に向き合う彼だものね。


「分かった。俺はやるよ。ヒートストームを自分のものにしてやる」


 ほらね?

 私にはお見通し。リオのことは何でも知っている。それこそ唇の感触まで……。


「それでエレナ、祠には入ったのか?」


 私が妄想に顔を赤らめていると、リオはそんな風に聞きました。


 ああ、そうだった。すっかり忘れていたけれど、私たちがここまで来た理由は炎の精霊に会うことでした。


「まだよ。リオが意識不明なのに放っておけるわけないじゃない?」


「ああ、悪い。サラマンダーには話を付けた。今回はファイアーを授かるはずだ」


「本当? ありがとう、リオ!」


 そうと決まれば祠へ入るしかありません。


 リオから長剣を受け取って、数日ぶりに私は炎の試練に挑みます。


 今度こそ夢を叶える第一歩を踏み出せるように。


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