第１１０話 もう脳筋でいいわ
「ダメージは入るって分かった……」
俺はファイアードラゴンの討伐方法を考えていた。
とはいえ、単に手数を増やすだけだ。流石に一撃で倒せないのだから、俺は何度も攻撃を繰り出すしかない。
「全身凶器を見せてやるぜ！」
俺はファイアードラゴンを殴りつけたあと、今度は蹴りを入れる。
全身が凶器なんだから、パンチだけじゃなくキックの威力も増大しているはずだと。
「ぶっ飛べぇええええ！！」
思い切り蹴り上げている。
すると、ドラゴンの前足にある鱗が剥がれ、肉が避けていた。破裂するように肉片が飛び散っていたんだ。
パンチよりも明確にダメージが大きい。俺は瞬時にその理由を推し量っていた。
「靴のせいか？」
素手であるパンチよりも靴による上乗せがあるのかもしれない。既に打撃とは言えなくなっていたけれど、全身凶器の名に恥じない攻撃であるはずだ。
「蹴りまくれぇぇっ！！」
手当たり次第に蹴っていく。その度にドラゴンの肉は飛び散って、無惨な姿になっていった。
しかしながら、そこは竜種だ。大量の血を流しながらも、まだ死に絶える様子はない。
『うまそう……。うまそう……』
るせぇぇよ。
勝手に捕食対象とするんじゃねぇ。俺はご馳走じゃないっての。
「お前こそが俺の獲物だぁぁっ！！」
俺は跳び蹴りを繰り出していた。
すると首の下辺りに右足が突き刺さったんだ。
さりとて、ドラゴンは暴れ出す。右足が突き刺さったまま、俺は壁へと激突させられてしまう。
「脳筋プリースト、舐めんじゃねぇええ！！」
透かさずヒールをし、俺は焦ることなく現状に対処。突き刺さった右足を起点として、今度は左足を振り回したんだ。
間近にあるファイアードラゴンの頭部を目がけて。
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