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第108話 脳筋プリーストへ

「またファイアードラゴンが湧いたから倒してね?」


 ちょっと待て! 俺は素手だと言っただろ!?

 って、言ってないな。だけど、見たら分かんだろうが!?


「俺は武器を持ってねぇぞ!?」


「だったら殴り倒して。大丈夫だって」


 軽く言いやがるな。あのときは会心率上昇のスキルで何とかなっただけだっての。


「お前は大精霊なんだろ? 神にも匹敵する存在だと聞いた。ドラゴンくらい倒せるだろう?」


「残念だけど、わたしが戦うと祠ごと消失してしまう。リオにも、わたしの偉大さは分かっているだろう?」


 ま、確かに。

 大精霊の加護は俺に強大な力を与えた。それを授けた大精霊の力なんて想像もできん。祠だけでなく、王都まで被害が出てしまうことだろう。


「地上にはエレナがいるし……」


 特に重要な問題はエレナが待っていることだ。彼女がサラマンダーに焼かれてしまうなんて許可できる案件じゃない。


「どうやって倒せば良い? フレイムは効かないんだろ?」


「だから殴り殺すしかない。君に授けたフレイムは最高ランクだけど、熟練度が足りないし、この祠には炎の結界がある。結界の強度を超える威力でなければ、ダメージは期待できない」


 どうしても脳筋プリーストにしたいようだな。俺はパラディンに昇格しただけであって、モンクではないというのに。


「炎の結界を何とかしろ」


「結界を解くと、ファイアードラゴンは外に出てしまう。だから、ここで殴り倒してね。なぁに、さしたる問題もないよ。君は先日よりかなり強くなっている。別人かと思うくらいに。湧いたのは先日と同じファイアードラゴンだ。臆する必要はないよ」


 確かに俺は強くなっているだろうが、素手だと言っただろ。

 弱くなっている部分も確実に存在するってのに。


「同じファイアードラゴンだと? 確実に倒しただろ?」


「倒したけど、湧いた。魂が輪廻に戻らなかったようだね。炎の魔素と融合して、再び肉体を得てしまったんだ」


 じゃあ、ゾンビってわけじゃないってか。

 まあゾンビなら炎に弱いって聞くし、本当に復活しただけらしい。


「だから、今回は倒したあとで浄化して欲しい。君は僧侶だったのだし、浄化魔法があるだろ? 迷えるファイアードラゴンの御霊を天へ送ってくれ」


「いや、俺は僧侶のジョブを授かっただけで、修行などしたことがない。ヒールは最初からあったけど、浄化については知らん」


 教会で僧侶のジョブを授かったとき、俺は女神の声を聞いた。


 まあそれは単なる通知だったんだけど、ヒールを習得したという内容だけだったんだ。


「大丈夫。女神に愛されしリオであれば、浄化できるはず。心から願うんだ。ファイアードラゴンの御霊が天へと還るように」


 ま、やってみるか。


 エレナが挑んだとき、再び湧いてはどうしようもない。それこそ俺は後悔するだろう。


 かといって、それは帰路に現れたファイアードラゴンを素手で殴り倒すというミッションを終えたあとの話なんだけど。


「急いだ方がいい。リオ、また会おう」


 なぜか急げとサラマンダーは言う。

 まるで意味不明な話だけど、薄く消えゆくサラマンダーはその理由を述べていた。


「祠の上空に飛竜が現れた――」


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