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第105話 推測

 アルカネスト王国マジェスティア王城。


 魔道士団の詰め所にガラムとテッドの姿があった。


「何とか問題解決ですかね? マルコス侯爵は今朝方、所領へと戻ったらしいです」


 紅茶を飲みながらテッドが言った。

 先の検証会にて謀略を暴かれたマルコスは早々に王城を離れたという。


「王都から離れたとして罰からは逃れられん。無駄なことじゃよ」


「ですね。まあリオ君が罰せられなくて良かったです。しかし、閣下も酷いですね? クリスタルに録画されているなら一言あっても……」


「盗聴の疑いがあったからの。我らが集まっておったのは筒抜けじゃ。それに戦闘記録はワシが師団長であった頃から義務付けいていたじゃろ? 当たり前のことじゃ」


 まずはガラムの勝負手について。誰にも話していなかったのは全て対策を恐れてのことだったらしい。


「流石です。まあでも、リオ君のフレイムで消火できると分かっていたら、それも必要なかったかもしれませんね?」


「そうじゃの。やはりリオは女神に愛されておる。この先にジョブが昇格したとしても驚かんわい」


「閣下はリオ君が勇者になるとお考えでしょうか?」


「どうじゃろうな。しかし、パラディン以外のジョブになる可能性は高いとみておる。現状でリオは鍛冶に取り組んでおるし、何よりあやつの特性がそんな気にさせるのじゃ」


 よく分からない話にテッドは眉根を寄せる。

 特性と言われても、少しですら理解できなかった。


「特性とは何でしょう?」


「気付かぬのか? スタンピードが止まったのだぞ?」


 軽い説明ではまるで理解できない。テッドは頭を左右に振るだけであった。


「スタンピードは魔物の暴走じゃ。途中に岩があれど川があれど停止することなどない。それが止まったのじゃ。リオは魔物を過度に惹き付ける何かを持っておる」


「確かに、普通ならリオ君など構わず、王都まで流れていたかもしれませんね」


「異常なんじゃよ。スタンピードが収まっただけでなく、取り囲まれるなど考えられん。ワシはそれをリオの特性だと考えておる」


 魔物に好かれる特性かとテッドは思う。それこそ暴走状態から我に返るほど魅力的だったのだろうと。


「それなら、リオ君はテイマーの素質があるということですか?」


「そうじゃない。リオは襲われたのじゃ。好かれた結果としてスタンピードを止めたのではない。魔物には極上の餌に見えていたのではないかの」


「餌ですか……?」


 再び分からなくなる。たった一人なのだ。

 取り合うほどの量があるはずもなく、わざわざ足を止めて狙うほどのご馳走に見えるなんて考えられなかった。


「聞けばリオはレインボーホーンラビットを二度も狩ったことがあるらしい。逃げることなく襲われたとも話しておった」


「まさか王都を騒がせていたレインボーホーンの出所がリオ君だと仰るのですか!?」


「他言するなよ? レインボーホーンラビットに襲われるなんて子供でも無理じゃ。リオの特性に他ならん」


 もうテッドは反駁を加えない。それどころか、妙に納得してしまった。


「リオ君は一人で出歩くとマズいですね?」


「うむ。消火活動もあるからの。リオが苦戦する魔物はおらんじゃろうが、またヒートストームを唱えられてはかなわんからな。あとで様子を見に行ってみようぞ」


 長い溜め息を吐く二人。リオの強さは分かりきっていたけれど、再び一帯を白い炎で覆い尽くされては堪らない。


 面倒に感じながらも、リオの消火活動に付き合うことにした。

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