表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
歯車の世界  作者: name1
1/1

歯車の夢

わたしには、なにもない。

本当になにもないのだ。


この世界が決めたレールの上に乗って日常という電車に揺られながら一生を終える。

このレールから脱線しようものなら白い目で見られ、弾圧される。

それで終わり。

だからわたしはこの世界のレールから外れないように機械にように生きていく事しか出来ない。

そんなわたしはさながらロボットガァルだ。



今年の春、わたしは高校生になった。

ごく普通の公立高校。

入学式から一ヶ月たった今でも学校にはあまり慣れない。

表面上だけの付き合いとある程度の情報さえ持っていればまず置いて行かれる事はない。

わたしはこの一ヶ月でずいぶん思い知らされた。

人間関係の難しさ、学力の差。数えるとキリがない。

中学生のわたしは一体何を期待していたのだろうか。

都会の学校に行ける、電車通学なんて夢のよう、可愛い制服! そんな些細な事でもあの時はいつも夢を見れていた。


けれど楽しみが無い訳ではない。

わたしは本を読む事が好きだ。

今一番の楽しみは、先頭車両に乗って右側のいつもの席に座り本を読む事だ。

降りる駅の前の駅の間には大きな橋がある。

この橋を通る時に見える海と高層ビル達の景色がとても素敵なのだ。

ビルとビルの間から見える透き通るような朝の色が何とも言えない。

この時ばかりはわたしも本を読む目を止めて数秒しか見ることの出来ない景色を見つめる。


機械みたいなこの世界で唯一世界の色を感じる事が出来る瞬間。

わたしはそれがたまらなく好きだ、夢をいつまでも見れる気がして。

ホームから吹く冷たい風がわたしをそんな夢から覚ます目覚まし代わりになるのも遠くはないのかもしれない。


今日もその時を楽しみにして電車に乗った。


先頭車両はわたしを含めいつも3,4人くらいしかいない。多い時でも10人程度。

わたしはいつもの席に座る。



朝の陽ざしが窓から差し込んで溶けて染み込む。

今日は春の午後みたいに暖かくて寝てしまいそうだ。

まぶたに暖かい色が映って視界が半分消える。

もうすぐあの好きな景色を見れるのに、眠気が襲ってくる。

本をバッグから取ろうと思ったが手が動かなかった。

このまま暖かい空気のままどこかへ行ってしまいたいと思った。




ゆらゆら揺れる景色とともにわたしは眠りについた。




のろのろ頑張ります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ