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サイラス視点

 

 私は急ぎ馬を走らせ領地にある屋敷へと戻った。領地は王都の隣にあるので馬で走れば二時間程で屋敷に辿り着く。いつもは馬車で移動しているのでもっと時間が掛かるのだがその時間さえも今は惜しい。


 仕事は忙しいが週に一度はセレーナの待つ屋敷に帰るようにしている。ただセレーナとは緊張してしまうからと顔も合わせていなかったのだが。


 そうして屋敷に着いた私は急いで彼女の、女主人が使う部屋へと向かいそこで見た光景に唖然とした。



「なにもない…」



 部屋の中には元々備え付けられていた机や本棚以外なにもなかったのだ。彼女の部屋はここのはずなのに書類の一枚もないなんてあり得ない。おかしいと思った私は一緒に戻ってきた家令を問いただした。



「これはどういうことだ?」


「そ、それはっ!そのっ…」


「はっきり言え!」


「お、奥様の部屋は、べ、別の場所に…」


「別の場所だと?案内しろ!」


「は、はいっ!」



 顔色の悪い家令に案内されたのは、この屋敷の中で一番日当たりの悪い部屋だった。


 私はとても嫌な予感がした。


 その部屋の扉を開けるとそこにはとても女主人の部屋だとは思えないような物と書類で溢れ返っていた。



「…なんだこの部屋は」


「こ、こちらが奥様が普段過ごしていた部屋です…」



 私が想像していた部屋とは全く違い、部屋には実験道具や素材、それにたくさんの文字がかかれている紙の束があり、部屋は薬のような独特の臭いで充満していた。



 (ここがセレーナの部屋だと?…ん?机の上になにか…)



 私は机の上にポツンと置いてある封筒に気がついた。その封筒を手に取り中身を取り出す。するとそれはセレーナから私に宛てた手紙だった。


 嫌な予感がするが読まないわけにはいかないと、震える手で私は手紙を読み始めた。


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